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Title: 中国における「女性経済」トレンド①:ライドシェア事業を活性化する女性運転手
Updated: 2024/04/24
Category: サービス
Areas: 中国

中国における「女性経済」トレンド①:ライドシェア事業を活性化する女性運転手

本レポートは、中国ライドシェア大手「DiDi滴滴(以下、DiDi)」の女性運転手に注目することで、彼女たちの労働環境の変化や女性運転手がサービス提供側にもたらすメリットを明らかにする。同時に、日本で進むライドシェア事業に関する議論への示唆提供を目的とする。
2015年にサービスを開始したライドシェア大手のDiDiは女性の活躍を積極的に後押ししている。女性社員だけでなく女性運転手も増えている。自分の仕事時間をコントロールしやすい運転手業は、家事や子育てをする人々のライフスタイルにもフィットする。同社は様々な施策で女性運転手の成長と自立を支援しており、数多の女性運転手が、DiDiで得た収入で車を購入できるようになるなど、仕事のやりがいを実感しながら経済的な自立を果たしている。
ライドシェアの課題の一つが女性ユーザーの安全なサービス利用だ。この課題に対してもDiDiは施策を講じており、同時にこれは女性運転手の安全確保にも寄与している。DiDiの調べでは、約21%の女性ユーザーが「運転手が女性ならばDiDiの利用頻度を増やしたい」と答えている。女性運転手によるサービスが増えることは、女性ユーザーの利用を促進する可能性がある。DiDiは海外事業においても、女性の活躍と安全確保を重視することでサービス向上を目指している。
中国のケースから得られる重要な示唆は、日本のライドシェア事業の議論において、女性の活躍機会を踏まえることが意義ある論点になり得るということだ。日本におけるライドシェア事業の議論で壇上に上がるキーワードは、運転手高齢化やタクシー不足などであり、女性の活躍機会に触れられることはまれである。中長期で見れば、女性の就労機会を作り、安全確保の仕組みを導入していくことが、ライドシェア領域の発展につながるのではないだろうか。

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