整理・収納から解放される新たな購買スタイルの可能性
~家の中の整理・収納と購買に関するRoomClipユーザー調査~
KDDI総合研究所は、2030年に実現したいライフスタイルを探るため、このたび国内最大級の住まいと暮らしのソーシャルメディア「RoomClip」と共同で、整理・収納から解放される新たな購買スタイルの可能性について、ユーザー調査を行いました。
「RoomClip」
インテリア専門のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)。月間約600万人(2020年8月)が利用し、投稿写真は450万枚以上。個人の部屋のレイアウトや家具、雑貨、DIY、収納アイデアなどの実例写真を共有、ユーザー同士の交流も行っている。運営会社は、ルームクリップ株式会社(本社・東京都渋谷区、代表取締役社長・高重 正彦)。
(出典)RoomClip社メディアガイド 2020.10-12 Ver.1.0
■ 最大の課題は「モノが多すぎること」
調査は2020年3月と6月、日用品の買い物習慣や自宅の整理収納方法などについて、全国のRoomClipユーザー2,743人へのWEBアンケートと個別インタビューにより実施しました。
その結果、同ユーザーの合計98.1%が「(家の中を)きれいに整理したい」(図表1)、70.7%が「モノが多すぎる」と回答(図表2)。あらためて、整理・収納における最大の課題は、「モノ(在庫)が多すぎること」であると判明しました。
■ 解決策は「在庫の棚卸」と「ルールづくり」
具体的に家の中で整理したい場所としては、1位「押し入れ」が60.5%、2位「クローゼット」58.0%、という結果となり(図表3)、“収納問題”が浮き彫りに。
解決策として実践している方法は、1位が「こまめに整理」52.2%、2位「使わないものは早めに捨てる」51.6%。以下、3位「収納スペースを区切る」49.0%、4位「整理のルールを決める」36.8%、5位「買いだめをしない」30.1%と続きました(図表4)。
現状では、「在庫の棚卸」と「ルールづくり」が、収納・在庫管理の問題解決のカギとなっているようです。加えて、余分な在庫を持たず常に適正量の在庫を維持できる環境の構築も解決につながると考えられます。
こうした環境構築を実現するサービスとして「自動注文サービス」が考えられます。自動注文サービスとは、宅内の在庫の消費を把握し、自動で注文してくれるサービスです。主なメリットは、在庫管理の手間がなくなること、在庫切れがなくなること、在庫を持つための収納場所が不要になることです。既にあるサービス例は、コーヒーカプセルの自動注文などです。このような自動注文サービスの利用に、29.8%ユーザーが興味を示しました(図表5)。
ロボット配達のイメージ
■ 半数以上が「ロボット配達に期待」
今後、自動注文サービスが増えてくると、将来的には自宅への宅配量のさらなる増大が予想されます。また昨今では新型コロナウィルスの影響による通信販売の拡大により宅配量は増えています。
こうした背景の下、今回の調査では「ロボット配達」へのニーズ調査も行いました。ロボット配達とは、自動走行ロボットによる24時間宅配サービスのことです。メリットは、自分の都合の良い時間帯に、人と会わずに気兼ねなく荷物を受け取れることで、国内外で実用化の検討が進められています。
調査では、合計53.3%のユーザーが、ロボット配達を「利用したい」あるいは「やや利用したい」と回答(図表6)。将来のロボット配達の実現に、半数以上が期待を寄せていることも分かりました。
理由としては、「宅配の受け取り期限の21時までに帰宅できずに受け取れないこともある。受け取り時間が広がると良い。ロボットは魅力的。買い物の時間を減らすことができれば、趣味の時間に充てたい」(20代会社員男性)。
「宅配ボックスは高い。置き配サービスも盗まれるリスクがある。ロボットはセキュリティがしっかりしてそうで安心。すっぴんの時の受け取りも気楽でよい」(30代主婦)、などといったユーザーの声がありました。
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今回の調査では、アンケート調査と合わせて、インタビュー調査も行いました。以降では、インタビューに応じてくださったRoomClipのコアなユーザーの皆さんの収納・在庫管理の実践例をご紹介します。
DIYで「見せる収納」「隠す収納」
<収納例1> Aさん(30代男性)
自宅は賃貸なため穴をあけられません。壁にDIY(Do It Yourself)で収納用の棚を取り付けています。木製の柱を天井と床に張っています。材料は近くのホームセンターで少しずつ購入。平日の帰宅後や休日を利用して制作しました。予算は10万円前後。
日用品は、バラバラ感がでないように同じようなサイズ、色を買いそろえます。それらの色合いが部屋にあっていれば「見せる収納」に。部屋に合わない場合は「隠す収納」にします。例えば、お酒やプロテイン、サプリメントなどは「見せる収納」。洗剤などは「隠す収納」になります。
整理の工夫は、モノをしまう定位置をつくること。しまいにくい、取り出しにくい収納は、片付けたとは言わないポリシーです。
Bさんの収納はモノトーンで統一。「ローリングストック法」でモノの量は増やしません
使用した分だけ補充「ローリングストック法」
<実践例2> Bさん(40代女性)
インテリアのコンセプトは、白と黒が基調のモノトーン。ニトリや100均で購入した安価なカゴをうまく活用して分別しています。食材の収納には、パントリー(食品庫)を用意。人間用と愛犬用に分けて、上からあまり使わない順にモノを入れています。よく使うものは賞味期限をチェック。早いものは前の方に来るようにしています。
在庫管理の工夫としては、商品のパッケージを空けたら次を買う「ローリングストック法」を採用しています。家具を増やさないこと、何か買ったら捨てることが整理のコツ。コロナの影響で、まとめ買いのためストックは増えましたが、買い物の頻度を減らしたことで、モノの量は依然と変わっていません。夜寝る前に、必ず片づけをする習慣です。
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今回のアンケート調査にご協力してくれた皆さんの多くは、自宅の整理、在庫管理、収納に課題を感じており、その課題に対処するため、日々労力をかけて、整理・収納を工夫して実践している様子がうかがえました。
将来的には、自宅の在庫量を必要最小限にとどめ、労をかけずに在庫管理・買い物・受け取りを行うため、在庫管理・注文・受け取りの自動化・省力化などのサービスへの期待度も高いことが判明しました。
KDDI総合研究所は、2030年に実現したい社会像として、多様性がありながら最適化・効率化された暮らしやすい社会の提案を進めています。
今後も様々なパートナーの皆さまと協力しながら、整理・収納の手間から解放され、快適な空間・時間を享受できる新たなライフスタイルの実現に向けて、引き続き調査・研究に取り組んでまいります。