研究員がひも解く未来

研究員コラム

本を読むということ

大学を卒業し就職してからずいぶん月日が経ちますが、私は働きながら日常的に好きな本を読んでいます。そのため、文芸評論家の三宅香帆さんの書かれた『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)が話題を集めて大変売れていると知り、驚きました。

店舗?倉庫?欧州で進むクイックコマース規制の現在地

「できるだけ労力を節約したいと云う願望から出て来る種々の発明とか器械力」は開化につながる1つの力だが、「開化が進めば進むほど競争がますます劇(はげ)しくなって生活はいよいよ困難になるような気がする」と述べたのは夏目漱石である。現代もまさにより便利に、より速くしようとした結果、生活が困難になることがある。

後編)ミュージアムのサブスク〜国内ミュージアムサブスクの飛躍に向けて

2回にわたって国内外ミュージアムのサブスク(メンバーシップサービス)に着目している。後編である今回は、独立行政法人国立美術館(以下、国立美術館)のサブスクを、欧米各館のそれと比較しながら紹介する。なお国立美術館とは、国立西洋美術館や国立新美術館を含む国内7館の国立美術館の運営主体のことである。

前編)ミュージアムのサブスク〜海外ミュージアムのサブスクはしっかりビジネスになってるぞー!

世の中の多くのミュージアムではメンバーシップサービスを提供している。会員から年会費をもらって、展覧会へのフリーパスなど様々な特典を提供する。つまりサブスクだ。 このコラムシリーズでは、様々な角度で国内外のミュージアムを比較しているが、サブスクにおいてもやはり国内外の差は大きい。欧米ミュージアムのサブスクは、ミュージアムが自力で稼ぐための重要手段になっている。魅力ある特典で会員を集め運営資金の原資を生み出しており、しっかりとビジネスになっているのだ。

デジタルアートの現在地

毎年6月、スイスのバーゼルでは世界最大のアートフェア「アートバーゼル」が開催される。アートフェアとは、世界中のギャラリーが集い、そのギャラリーに所属するアーティストの作品を販売するイベントだ。アートバーゼルには毎年世界中のアートコレクターが集まる。バーゼルでデジタルアート中心のフェアが行われるのは初だ。この変化のタイミングで、アートワールドの中でのデジタルアートのポジションをおさらいしつつ、展望を考えたい。

ミュージアムがAIを使い始めた~来場者のための新しい体験作り

AIがさまざまな分野に浸透しつつある今、ミュージアムでもAIの活用が増えている。一般的に、AIの導入目的は「効率化」にあることが多いが、ミュージアムのような場所では、来場者の新しい体験のための「表現手段」として活用されることも珍しくない。以前のコラムで、アーティストがAIを表現手段として使うようになったことを取り上げた。今回は、世界のミュージアムがどのようにAIを使っているか見ていこう。

アートをもっと身近に〜ミュージアムの「空気」問題を考える

2024年8月3日(土)、国立西洋美術館は昨年に続き「にぎやかサタデー」を開催する。この日、来館者は作品を観ながら会話するなど自由な作品鑑賞ができる。「美術館の静かな雰囲気が苦手」、「小さな子供がいるから美術館は行きづらい」、日頃そんなふうに考えている人たちに気軽に来てもらうために設けられた年1回の特別な日だ。入場料も無料となる。
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