調査レポート R&A

Title: 韓国のAIデジタル教科書動向
Updated: 2024/08/19
Category: 制度・政策
Areas: 韓国

韓国のAIデジタル教科書動向

本レポートでは韓国政府の教育におけるデジタル化の動向とAIデジタル教科書の概要、またその課題について紹介する。

<AIデジタル教科書の主要な動向>
2023年2月、韓国教育部は、EduTechを通じて学生一人ひとりに最適な教育を提供する「デジタル基盤教育革新方案 」を発表した。この方案の目的は少子化に対応した教育システムへの変更と、地域や家計による教育格差を緩和することである。教育部は、この方案でAIが学生の学習理解度や進捗度等を分析・フィードバックし、必要な教育を提供するパーソナライズ型教材「AIデジタル教科書」を2025年から導入するとしている。
2023年10月には、AIデジタル教科書の法的根拠を設けるべく、「教科用図書に関する規定」を改正し、AIデジタル教科書を「知能情報化技術を活用した学習支援ソフトウェア」と定義した。
AIデジタル教科書は2024年8月までに開発を完了し、その後、教育部の教科書検定を経て、2025年3月から学校に導入される見込みである。政府は2025年を「未来のためのデジタル基盤教育革新の元年」と設定し、導入初年となる2025年3月は、小中高の数学・英語・情報・国語(特殊教育 )へ優先的に導入する予定である。そして、これを皮切りに全小中高の主要科目に拡げる計画である。

<AIデジタル教科書の主要な課題>
AIデジタル教科書の導入まで1年を切った今、方案発表からAIデジタル教科書の導入までを約2年という短期間で推し進める韓国政府に対し、十分な準備時間が設けられていないと指摘する声がある。AIデジタル教科書の開発に必要な技術の確保だけでなく、利用料や同教科書を利用するためのデジタルデバイスの普及等、2024年6月現在も様々な課題が存在している。

このレポートを読む