調査レポート R&A

← レポート一覧へ
Title: 2025年の米国通信業界の展望
Updated: 2025/01/23
Category: 市場分析 制度研究
Areas: 米国

2025年の米国通信業界の展望

■情報通信政策動向
・2025年1月に発足した第2次トランプ政権では、規制緩和、減税など従来の共和党路線が踏襲され、ビジネスには好環境になると予想。 新設の政府効率化省の共同トップに就任予定のイーロン・マスク氏は、衛星分野を中心に情報通信分野にも影響を及ぼすと考えられる。
・米連邦通信委員会(FCC)、 米連邦取引委員会(FTC)、司法省(DOJ)反トラスト局の新トップはいずれも、大手プラットフォーム への規制、特に「検閲」(コンテンツモデレーション)対策に積極的に取り組む考え。
・米無線業界は国防総省が利用する3.1-3.45GHzの早期割当を要求。国防総省は共用の可能性を検討中だが、実現には課題が多い。
・トランプ大統領は、大統領令により「TikTok禁止法」の執行を75日間猶予。TikTok親会社のByteDanceはこの間に、米中政府が認める形で米TikTokの運営方法を検討することを迫られる。
・Googleの検索市場独占を巡る訴訟で、DOJはウェブブラウザ「Chrome」の売却を要求。Googleはブラウザ及びAndroid契約の見直しを対抗提案。裁判所による是正措置の決定は2025年夏までに行われる見通し。
・トランプ大統領はバイデン政権のAI大統領令を撤回。トランプ政権では、AI関連政策を主導する「AI・暗号資産最高責任者」を新設。
■通信市場動向
・5G SAの本格運用が始まっており、2025年はネットワークスライシングを用いた優先接続サービスの拡充が見込まれる。
・衛星と携帯電話をつなぐ直接通信の準備が進んでおり、T-MobileはSpaceXと提携したサービスを2025年に開始予定。
・固定ブロードバンドについては、最大の市場シェアを持つケーブル事業者に対応するため、大手3MNOは、ファイバー事業者の買収・提携を 通じた提供エリア拡充、モバイルと固定コンバージェンスを推進する。T-MobileとVerizonは固定無線アクセス(FWA)にも注力しており、 2028年に加入者を倍増させることを目指している。
・6Gについては、民間主導のイニシアチブNext G Allianceが優先事項を2024年9月に発表した。今後通信システムへのセンシング機能 組み込みなどの個別の技術について議論を深めていく見通し。

このレポートを読む