2025年の欧州通信業界の展望
■EU新政権の動向
・欧州連合理事会議長国の輪番国は2025年1月-6月はポーランド、7月-12月はデンマーク。前後の議長国と協力して主導するが、大国が含まれておらず、政策決定が進まない可能性がある。また、独仏では内政に混乱が生じており、議会が膠着状態に陥る可能性がある
・大手デジタル企業への規制厳格化、NW費用の公平な負担などを含むデジタルネットワーク法、AIやクラウドや量子などの先端技術の開発促進、未成年者のオンライン保護を中心に立法が進む予定
■通信市場・政策動向
・欧州の5G人口カバレッジは89%、2025年の欧州主要国の5G普及見込みは、英82%、仏47%、独70%、西34%、伊46%
・MNO事業者の統合による競争の維持に注目が集まる、英での4to3、西での合併&Digi新規参入、伊での5to4
・MNO合併規制の緩和の可能性があるが、EU外国補助金規制と各国の国家安全保障法制による外資規制審査は継続
・英仏独で銅線撤退とFTTH展開が進み、英仏では銅線の売却益を得る
■データ法制
・欧州データ法は2025年9月から適用開始予定。トラッキングやスパムを規制する欧州ePrivacy規則案の成立目途は立たず
・英国データ・アクセス法案は2025年半ばまでに成立し、2026年初頭に施行される見込み
■AI規制
・欧州AI法の大部分は、2025年2月と8月に適用開始され、関連するガイドラインが公表される見込み
■競争・プラットフォーム規制
・DMAとDSAに基づく最初の制裁金賦課が決まる可能性が高い。ECへの監視強化はDSA執行の優先事項に
・英国のDMCC施行により、CMAは戦略的地位を有する企業の規制を開始、オンライン小売と広告における消費者保護に力を入れる予定
・大手プラットフォームなどによるAI・クラウド領域企業への投資計画が進む。これに対して、各国競争当局は警戒すると予想されるが、最終的に競争阻害はないとし、許可される可能性が高い