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Title: Deutsche Telekomの完全子会社congstarのバンドルサービス
Updated: 2007/08/16
Category: 市場分析
Areas: ドイツ

Deutsche Telekomの完全子会社congstarのバンドルサービス

Deutsche Telekom(以下「DT」)は2007年7月17日、100%子会社を通じて同社が第2ブランドと位置づけるサービス ” congstar ” を開始した。ドイツでは、E-PlusのSimyoやBaseなど、競合他社のディスカウントブランドが市場を牽引し始めており、これに対抗するものである。
congstarでは、「英Vodafone傘下のD2やオランダKPN傘下のE-Plusなど、動きがより素早い携帯電話事業者のために近年DTが失ったシェアを奪い返すため」という点が意識されており、congstarは固定系ブロードバンドも組み合わせたバンドルサービス(FMC系サービス)であるが、主眼は携帯電話市場に置かれている。
バンドルの対象としてDSLも含まれるため、前提としてユーザはDTの加入電話回線も契約する。DTにとっては、NCCより料金が高いがゆえにユーザに敬遠されつつある固定電話の低落傾向を逆転させようとする試みでもある。
DTはcongstarを、「セルフサービスレストランのような場所で、自分に合うように複数のファストフード(fastfood)を組み合わせて食事をエンジョイできるようなサービス」とも表現している。原理原則はこうしたレストランと同じで、①美味いこと、②速くできること、③リーズナブルであること、としており、ユーザはcongstarのホームページ画面上で好みの組み合わせを注文できる。
また、2週間以上前に通告すれば、毎月、月末時点での解約が可能である。携帯通話(congstar携帯電話タリフ)においては、月額加入基本料はない。これは特記すべき点と思われ、固定網への加入で月額基本料が徴収されるため、あえて携帯電話ではそうした料金項目を建てないとの発想がなされているのであろう。
DTの第1ブランドT-Mobile、T-Online等(TはTelekom)は、かつてDBPT(Deutsche Bundespost Telekom)と言われた公社時代のイメージが継承されており、品質やカバレッジなどの手堅さを訴求しているとも考えられる。DTが筆頭株主であるハンガリーの支配的事業者Magyar Telekom(マジャール・テレコム)にもドイツ同様T-で始まるブランドを使わせている。米国の携帯電話事業者T-Mobile USAのブランドイメージは決して悪くなく、信頼性のあるドイツ系資本であることを感じさせる。
他方、T-で始まるブランドには旧公社の鈍重なイメージも付き纏う。コンシューマ層は法人よりもブランドイメージに左右されやすいので、コンシューマ向けの人気ブランドの確立は重要で、今般のcongstarの打ち上げは、DTが新たなブランド戦略に動いたと見ることができよう。
同サービスは2007年7月17日に開始されて間がないので、成長するかどうかは今後を注視する必要があるが、congstar社の経営トップAlexander Lautz 氏は、2010年末までに年間10億ユーロ(約1670億円)を売り上げる目標を立てている。
2007年9月からはcongstarブランドのハンドセットも市場に出されることになっている。
欧州の特徴の一つは、EU域の政治経済統合推進を背景に、各国の主要事業者が他国に攻め込んでいる点である。例えるなら、韓国のKTが日本市場へ、日本のNTTが韓国市場に攻め込むといった構図が当たり前になっている。
その結果、DTのT-Mobileと英国Vodafone Group PLC傘下のD2のドイツ市場における加入数ベースシェアは比肩する程度になっている。欧州統合には、各国の旧支配的事業者を安穏とさせないものが原理的にある。

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