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Title: タイ随一の総合的通信事業者True Corp.について
Updated: 2008/02/13
Category: 市場分析
Areas: タイ

タイ随一の総合的通信事業者True Corp.について

タイのTrue Corp.(以下「True」)は、首都バンコク圏を主要地盤とする民間事業者である(携帯電話は全国規模)。 財閥系企業であり、農・食品業を中心とするタイ最大のコングロマリットであるCP(Charoen Pokphand)グループに属す。
Trueはタイの通信事業者のなかでは最もバランスのとれた総合性を持つと言え、自ら“Convergence Leader”と称している。社名と同じ「True」を各サービスの冠ブランドとしているが、馴染みやすいブランド名と思われる。
Trueは、売り上げ規模では、独占の歴史を過去に持つTOTに比肩するほどに育った。単年度赤字の状況は改善しつつあり、ブレイクイーブンが近い。また、同族系の現社長Spachai Chearavanont氏は40歳台と若く、会社に勢いを与えていると言える。
最重要のコンシューマ対応では、5つのコア、すなわち、携帯電話サービス(True Move)、固定系サービス(True Online)、ペイテレビサービス(True Visions)、電子ウォレットサービス(True Money)、デジタルコンテンツ/デジタルコミュニティサービス(True Life)を活用し、最大限の付加価値を提供することを当面のビジョンとしている。Trueでは当該ビジョンの満足いく達成の目標時期を、2009年末と定めている。
設備面では、3G、WiMAXを含むユーザへの有・無線アクセスの確保が重要と認識しており、2009年末(遅くとも2011年末)をターゲットに集中的に拡充する予定である。
通信網自体がパケット方式の伝送制御手順(IP)によるNGNに一体化していく今後、重要なのは各種サービスの統合的な提供である。固定電話や携帯電話がまだ飽和状況になく、FTTxの普及はこれからという途上国においても、流れは同じである。
サービスの統合的提供では、縦割りサービスのバンドル割引に止まらず、ユーザに付加価値で満足してもらえる横断的な工夫が肝要である。最大公約数的な連携サービスを超え、利用者(法人、個人)が個別に求めるものへのできるだけの対応、さらには異業種サービスとの連携等が入ってくると幅は広がる。
すでに総合的通信事業者であるTrueは、純粋に単一な通信事業者ではなくCP財閥企業群の一角であるので、他業種サービスとの連携はしやすいだろう。
タイは、軍事クーデターで倒れたタクシン政権後、暫定軍事体制下にあったが、タイ下院は、2007年8月公布の新憲法下で実施された同年12月の総選挙結果を受け、2008年1月28日、第一党「国民の力党」(前タクシン首相支持派)のサマック・スントラウェート党首を首班に指名した。再度の文民政権が2008年2月初旬にも成立する見込みである。
同党は選挙戦公約に、農村灌漑施設拡充に1兆5000億バーツ(5兆5350億円)の投入、農村基金融資や農村医療の拡充といった農政重視を含めており、農・食品業を中核とする多角的企業群であるCPグループの総体に順風が吹く可能性もある。
また、世界が産業革命以来の大方向転換とされるアンチCO2化に動いていくなか、同グループはバイオ燃料ビジネスを含む21世紀型農林業、都市の緑化事業、環境ビジネスの活性化などで、時代そのものの追い風を受けることも考えられるCP財閥はタイ最大とされるだけに、寄付や学校設立などのCSR活動で目立つ反面、商行為上の醜聞も風聞としてきこえてくる。虚業に手を出さず、実業で着実にCS(顧客満足)を追求していけば、Trueを含め、同グループの将来は明るいと言えるだろう。
なお、他の通信事業者も総合性の重大さを認識し、本格的提携に向けて動き出しており、Trueが台風の目になりつつあるとの見方が可能である。今後のTrueの動きは、タイのICT業界を見る上で要注目点であろう。

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