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Title: 米国 ケーブルテレビ事業者への水平的所有規制について
Updated: 2008/03/13
Category: 制度研究
Areas: 米国

米国 ケーブルテレビ事業者への水平的所有規制について

2007年12月21日、日本では、改正放送法が成立し、マスメディア集中排除原則に関連する規制が大幅に緩和されることになった。同原則に関する今回の改正は、放送法が成立した1950年以来はじめての抜本的なものであり、デジタル化、IT化への対応に迫られ巨額の設備投資が必要とされるマスメディア業界の再編成を促す契機になるも
のとして注目される。
一方、米国では、同時期の12月18日、米連邦通信委員会(Federal CommunicationsCommission:以下「FCC」)により、マスメディアの所有規制に関する2件の裁定が採択された。
一件は、「新聞/放送局の相互所有規制(Newspaper/Broadcast Cross-Ownership Rule)」の緩和、もう一件は、多チャンネル映像番組配信事業者(Multichannel Video Programming Distributors:以下「MVPD」)の競争促進を図る「ケーブルテレビ事業者への水平的所有規制(Cable Horizontal Ownership Limit)」の設定である。
日米両国において、具体的な内容には相違があるものの、マスメディア集中排除原則もしくはマスメディア所有規制の緩和の動きがほぼ同時期に行われたことは偶然ではないだろう。
米国のマスメディア業界でも、地上デジタル放送への完全移行(2009年2月予定)を控える中、デジタル化、IT化への対応が重要な点は日本と同様であり、今回のFCCの裁定がマスメディア業界の再編の動向に与える影響は小さくない。
その中で、ケーブルテレビ事業者への水平的所有規制については、AT&T、Verizonがいわゆるトリプルプレイサービスの一環として参入したMVPD市場において、圧倒的な地位を誇るケーブルテレビ事業者に対する規制が設定されたものであり、規制緩和の流れに逆流する様相を呈している点で興味深い。
とりわけ、この裁定が、政策的には経済の自由化、効率化、大企業の利益を重視する立場を採っている共和党政権のもとでの動きであることを考慮するとさらに異質ともいえる。
早くも、利害関係者であるケーブルテレビ事業者からは、今回のFCCの裁定について訴えを提起し、裁判所による判断を求めるとの表明がなされており、今後の動向が注目される。
本稿では、MVPD市場の動向を踏まえながら、今回採択されたケーブルテレビ事業者への水平的所有規制を中心に、その内容、採決に至る背景、経緯等を概観する。

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