Title: | 米国700MHzオークションと周辺事情の分析 |
Updated: | 2008/05/14 |
Category: | 市場分析 |
Areas: | 米国 |
米国700MHzオークションと周辺事情の分析
本稿は、2008年3月18日に終了した米国700MHz帯の周波数オークションの結果について考察する。
今回のオークションではGoogleの参加が大きな話題であったが、結果的には1件も落札することはなく、既存の携帯電話事業者が大半のライセンスを落札する結果となった。しかしながら、Googleの参加は意味がなかったわけではなく、むしろ、自ら落札することなく、全国レベルのライセンスにオープンアクセスルールが適用されることになり、Googleにとって最も好ましい結果となったと考えることができる。
そのオープンアクセスルールが適用されるライセンスを獲得したのがVerizonであるが、実は、Googleと同じか、それ以上、このオークションに勝利したと筆者は見ている。Googleが早々に入札から降りたことにより、全国レベルのライセンスが比較的安価に入手できたこと、そして、それとは別に都市部でのライセンスを確保したこと、これらは、次世代携帯電話の事業戦略の観点からも、適切な戦略であったと見ている。
一方、AT&Tはすでに保有しているライセンスエリアを補完するように細かく分割されたライセンスを確保したが、Verizonとの競合もあって、やや高額で落札せざるを得なくなった。
今回のオークションの結果、VerizonとAT&Tの二大キャリアがますます事業規模の拡大にむけて前進した。Googleは700MHz帯のライセンスは見送ったが、WiFi2.0に向けて活動し始めている。第3世代携帯への移行で足踏み状態のなか、次世代携帯への布石も絡んでの各社の動向がいっそう注目される。