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Title: ポーランドの電気通信市場の概況について
Updated: 2008/05/14
Category: 市場分析
Areas: ポーランド

ポーランドの電気通信市場の概況について

ポーランドの2006年末の人口は3850万であり、国土の面積は32.3万平方キロメートルである(日本の面積から九州及び四国を引いた規模)。ポーランドは2004年5月にEUに加盟したが、外交的には、特にドイツ及びフランスとの関係を重視しているとされている。対外貿易の大宗はEUであり、輸出の8割がEUであり、輸入の7割もEUである。国別ではドイツが輸出の1/3、輸入の1/4を占め、経済的にもドイツとの関係は無視できない状況となっている。EU加盟以降も持続的な経済成長率(2004年は5.3%、2005年は3.5%)は維持しているものの、失業率(2004年は19.1%、2005年は17.5%)は依然として高止まりであり、雇用創出と財政削減が課題といわれている。
日系企業の東欧の進出は1990年代のハンガリーから開始されているが、2000年に、トヨタがチェコの組立工場決定を契機に、一時的にチェコへの対外直接投資が集中した。しかしながら、ポーランドのEU加盟が確定した2003年頃からはトヨタ、NSK、ブリヂストン等の製造業を中心にポーランドへの進出が増加しており、2007年11月現在、ポーランドには製造業60社を中心に日系企業150社が進出している。
ポーランドのTelekomunikacja Polska SA(以下「TPSA」)は1991年にPTTを改組した組織として設立されているが、1998年に民営化されている。TPSAは2007年9月末現在で、固定電話加入者が965万であり、携帯事業者最大手のPTK Centertel(以下「Orange Poland」)は同社100%の子会社である。TPSAの2006年収益は30.48億EUR(4780億円)(換算レート)であるが、収益の40%以上は携帯事業が稼ぎだしている。
ポーランドの携帯人口普及率(以下「普及率」)は2006年末で既に95.45%に達しており、これまではTPSA、 Polkomtel及びPTCの3社で市場を占有していたが、2007年3月にP4が新規参入した。 2007年3Q末の携帯普及率は103.8%であるが、ポーランドの規制機関であるUKE(Ofice of Electronic Communications:電子通信庁)は第5番目の携帯事業ライセンスを既にCenterNetに与えており、同社は2008年央の商用サービス開始を発表している。また、UKEはCenterNetに割当てたGSM1800周波数の内、未使用となる周波数を利用して第6番目のライセンスを与えるのではないかと観測されていたが、イタリアの会社が2008年の携帯市場参入を発表している。
一方、ポーランドの固定電話市場ではTPSAが88.9%の市場シェアを占めている。TPSAの競争相手にはNetia、Telefonia Dialog、EL Net、NOM、Multimeda Polskaが存在するが、固定電話の加入者が減少する中で、今後もCATV業者等が強力な競争相手になると想定されている。
Netiaは携帯事業者P4の親会社でもあるが、同社の2007年6月末のブロ-ドバンド加入者は13.4万で年率ベースに換算すると140%の伸びとなっている。Netiaは2006年8月にAlcatel-Lucent製のWiMAXも導入しているが、現在、WiMAXのカバレッジは20都市まで拡大されており、データの最高伝送速度は2Mbpsで2007年6月末のWiMAX加入者は4800とされている。なお、Netiaは2007年6月、ブロードバンド顧客ベース拡大のため、ISP3社の買収も発表している。

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