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Title: 米国におけるテレビの今(前編)
Updated: 2010/08/17
Category: コンテンツメディア分野
Areas: 米国

米国におけるテレビの今(前編)

2010年3月に米連邦通信委員会(FCC)が発表した全米ブロードバンド計画(NBP)では、2015年までに放送局からの「任意競売」により、120MHzの無線帯域をワイヤレスブロードバンド用に割り当てるという勧告が行われた。捉えようによれば、FCCは、未来はワイヤレスブロードバンドにあると決定し、逆に地上波放送は過去の産業であると決定したように見える。
NBP公表以前から、米国の放送産業は、多くの困難に直面している。リーマンショック以降の経済混乱により、元には戻らないだろう経済(システム)のリストラクチャリングが行われた。 自動車業界や金融業界の大規模な統合はその例であり、放送局にとってこの両方は主要な広告主でもあった。広告ビジネスモデルに拠る地上波放送産業にとって、従来の主要広告主がグッと減ったわけだ。
もうひとつの根本的な変化は、「常時、接続中のユーザー層」(connected generation) の出現だ。彼らは同時に複数のことをしたり、複数の画面を見たりする特徴がある。 米Nielsen Researchによれば、少なくとも60%の視聴者は、過去1ヶ月の間に、テレビを見ながらインターネットも利用したという。
こうしたテレビを取り巻く変化を考察するには、米国放送産業の様子を理解しておく必要がある。このレポートでは、前編として、地上波放送やCATV等、伝統的な放送産業とそれが直面している難局に注目する。 後編では、コンテンツの「マルチデバイス視聴化」など多様化する視聴スタイルを中心に報告する。

The US Federal Communications Commission (FCC) released its National Broadband Plan in March 2010, and in it, called for “voluntary auctions” to reallocate 120 MHz of spectrum for use in wireless broadband. (Note that 120 MHz is greater than the amount vacated in the 2009 DTV transition, during which 108 MHz of spectrum were vacated.) While the content of the National Broadband Plan was well-anticipated, nonetheless, its release caused ripples in the broadcast TV industry.

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