Sling TVがNetflixを超えた


OTTビデオストリーミング市場におけるNetflixの地位は圧倒的だが、Sling TVがNetflixを上回っている側面がある。

comScoreのデータによると、2016年12月に米国でOTTサービスを利用した世帯は4,900万世帯以上で、これは米国のWi-Fi利用世帯の53%に相当する。

Netflixを視聴している世帯はOTT利用世帯の75%と圧倒的だが、最近は競合他社のサービスも伸びてきている。

YouTubeを視聴している世帯はOTT利用世帯の53%で第2位。次いでAmazon Videoの33%、Huluの17%と続く。

下のグラフでは横軸がOTT利用世帯に占める各サービスの視聴世帯の割合だ。

comScoreのブログより
OTTの視聴世帯数とエンゲージメント(comScoreのブログより)

これを見ると、驚くべきことに、視聴世帯の少ないSling TVがトップのNetflixを上回っている側面がある。

「エンゲージメント」という要素だ。これは1世帯あたり1か月に何時間視聴しているかという数字で、上記のグラフでは円の大きさで示されている。

Sling TVの円が一番大きくて、1か月の間に1世帯あたり47時間視聴している。Netflixは28時間で第2位。

すなわち、Sling TVはNetflixに比べて視聴世帯数は少ないが、1世帯あたりの視聴時間は長い、ということになる。

同調査では、また各OTTサービスの視聴世帯のうちNetflixを視聴していない世帯に関するデータも示されている。

Netflixを視聴していない世帯の割合(comScoreのブログより)
Netflixを視聴していない世帯の割合(comScoreのブログより)

たとえば、YouTubeを視聴している世帯でNetflixを視聴していないのは30%以上なのに対し、Huluを視聴している世帯でNetflixを視聴していないのは14%。

すなわちHuluを視聴している世帯はNetflixも視聴している場合が多いということになる。HuluがあればNetflixはいらないというわけではないようだ。

最後に同調査は、Wi-FiがあってもOTTサービスを利用していない世帯がまだ半数近くある点を取り上げ、OTTにはまだ伸びる余地があると指摘している。

競合他社が結構伸びているので、Netflixの支配的な地位が脅かされないとは限らない状況だ。