ハワイのホノルルで横断歩道の「歩きスマホ」が禁止されることになったが、もっと危険なものがある。
ホノルルで横断歩道の「歩きスマホ」を禁止する条例が7月12日に市議会で可決され、7月27日にホノルルのカーク・コールドウェル市長によって署名式典が行われた。

新条例の内容は、「道路を横断中の歩行者はモバイル電子機器を見てはいけない」というもの。
「モバイル電子機器」ということなので、スマホやガラケーはもちろん、ゲーム機やデジカメやポケベル(今どき使っている人がいるかは不明だが)やパソコン(歩きながら使う人がいるかは不明だが)なども見てはいけない。
タブレットやEブックリーダで本を読んでもいけないが、紙の本を読むのは大丈夫だろう(けっして奨励しているわけではない)。
「見てはいけない」ということなので、スマホでメッセージを送ったり読んだりすることはもちろん、地図を見たり、時刻を確認したりしてもいけない。
電話で話をすることは、スマホを見ない限り、大丈夫だ。電話をかけるためにスマホの連絡帳を開いたり発信や応答のためにボタンを押したりするのはおそらくだめだろうが、スマホを見ないですべての操作ができるなら大丈夫だろう。
なお、道路を横断中に警察などに緊急通報をすることは例外的に認められている。
禁止することにした目的は、スマホに取り憑かれている「スマホ・ゾンビ」たちを、車や物にぶつからないように保護するため。
10月25日から施行される。初回の違反は15ドルから35ドルの科料。初回の違反から1年以内に2回目の違反をすると35ドルから75ドルの科料。初回の違反から1年以内に3回目の違反をすると75ドルから99ドルの科料となる。
これに対しては、個人の自由を侵害するものだとか、政府の過剰な干渉だとして反対する人たちもいるようだ。警察はもっと他に取り締まるべき大事な任務があるだろうという主張もある。
この程度のことは人々の常識や良識に任せて、万一ぶつかったら自己責任にするというのも一法だろうが、常識や良識のある人たちばかりではないことや、他人にも迷惑がかかることなので、法令で強制的にやめさせることにしたものだ。
なお、新条例は「道路を横断中」とも規定している。すなわち、事実上「横断歩道上での歩きスマホ」が禁止されることになる。
ちなみに道路の横断歩道でないところを横断すると、「ジェイウォーク」を禁止するハワイ州の法律に違反することとなり、130ドルの罰金となるので、けっしてやってはいけない。
そういうわけで、横断歩道でない歩道上で「歩きスマホ」をすることは、今のところ禁止されていない。ところが、歩道上は車にぶつかる心配は比較的少ないものの、別のものにぶつかる心配が多くなる。
その典型的なものは「消火栓」だ。ホノルルの消火栓はだいたいが歩道上にあり、端の方にあることもあるが歩道の真ん中にあることも珍しくない。
黄色で目立つようにはなっているが、見ていない人には通用しない。これはスマホを見ていなくてもぶつかる可能性があるので注意を要する。
現にスマホを見ていなかったのに消火栓にぶつかった人が身近にいる。
この危険性についてはホノルル市議会では問題になっていないのだろうか。