新型コロナと5Gの関係


新型コロナの感染拡大は5Gと関係があるとの説がある。

新型コロナと5Gの関係と言えば、たとえばコロナの影響で、5G用の設備や端末などの開発・納入が遅れて5Gサービスの開始や拡充に影響が出るとか、逆にコロナの影響でテレワークや遠隔教育、遠隔医療などのニーズが高まって5Gの導入や普及を加速させるとか、いろいろな面で関係があるだろうということは想定できるが、それとは別に、新型コロナはそもそも5Gによって引き起こされたという陰謀論めいた説もある。

世の中にはさまざまな陰謀論がある。新型コロナに関しても、生物兵器だとか人口削減計画の一環だとか、さまざまながYouTubeやFacebookなどで囁かれている。そういうものは確たる証拠がないとなかなか信じられるものではないので、いちいち気にしてはいられないが、5Gのせいだと言われると聞き捨てならない。

そのような主張の中には、たとえば、今広がっているのは実はコロナウイルスではなく、5Gの電波による人体の中毒症状や免疫不全などだというものがある。インフルエンザ用のワクチンやケムトレイル(飛行機から散布される有害物質)と5Gの合わせ技だとの主張もある。

そのような主張の根拠として、中国で初の5Gサービスが始まった武漢で感染が始まった、欧州では5Gサービスが始まった国で特に感染者が多いなどの事例が挙げられている。

5Gサービスの展開地域と新型コロナの感染地域の地図がほぼ同じだとの指摘もある。

5Gに限らず、電波と伝染病の関係で言えば、過去にも大きなインフルエンザが流行った直前に電波に関わる大きな変化があったことが指摘されている。

たとえば、1918年のスペインかぜ(米軍艦にレーダーが初めて搭載され、レーダーの使用が世界的に広がった)、1956年のインフルエンザ大流行(アラスカ、ケープコッド、ニューヨーク湾にもレーダーが設置され、レーダーの使用が世界的に急拡大した)、1968年の香港かぜ(地球を取り巻くバンアレン帯に打ち上げられた初めての人工衛星が運用を開始した)などの例が挙げられている。

一方、そのような主張は科学的根拠がなく、新型コロナと5Gは関係ない、関連性が疑われるとすれば単なる偶然だ、5Gを危険視することの方が危険だ、などといった主張も活発化している。

コロナの感染拡大を5Gに結び付ける主張がいかに間違っているかの証拠として、現時点では5Gサービスの提供地域は極めて限られていることや、5Gが提供されていない国や地域でも感染は広がっているなどの事例が挙げられている。

また、ロシア語のYouTube動画が盛んに5Gの危険性を訴えていることを挙げて、これは米国の5Gの発展を妨げようとする陰謀だとする主張もある。このような主張自体も別の角度からの陰謀論と言える。

GoogleやFacebookなどもそのようなフェイクニュースの投稿を削除する作業をせっせと進めているようだが、それでも噂はなかなか収まらない。絶対安全だという確たる証拠がないのだから仕方がないとも言える。米国でのマスク着用のように、今まで「不要」とされていたものが突然「必要」とされることもある。

もっとも今のところは「単なる偶然」を否定するほどの確たる証拠もないので、必要以上に不安になる必要はない。むしろ不安を抱くことで悪い結果を引き寄せてしまうようなこともあるようだから、明るいものの考え方をした方がいい。

そう言えば、日本は他の主要国に比べて5Gサービスの開始が遅れていたが、感染拡大も他国に比べてそれほど急速ではなかった。日本で5Gサービスが開始された3月25日から、東京で急に感染者が増え始めた。

これも今のところは「単なる偶然だ」という結論を覆すほどの証拠はない。