2021年の米国通信業界の展望
サマリー
●バイデン新政権の情報通信政策
・バイデン新政権は、「ユニバーサルブロードバンド」を優先課題の一つに掲げているが、具体的施策は未定。
・大手プラットフォーム(GAFA)への規制圧力はさらに高まる。Google、Facebookに対する反トラスト(独占禁止)訴訟は、決着までに数年以上かかる見通し。
・ICTサプライチェーン保護対策(対中国)は引き続き優先課題。民主党政権下でも大きな方針転換はない。
●5G関連動向
・FCCは5G用ミッドバンドの割当・追加確保に注力。国防総省が利用する周波数の開放が課題に。
・DSS(ダイナミック周波数共用)による5Gサービスは、LTEと差が認識できるレベルまで徐々に高速化。ミリ波による5Gエリアは、引き続きスタジアムや法人向けなど限定的に留まる。
・5Gスタンドアローン(SA)への移行が進むにつれ、法人向けにNWスライシング、MECを実験的に導入するケースが増え始める。実質的な収益化は2022年以降。
・第4事業者DishがOpen RANによる5G SA網を構築。一定のシェアを取るまでには数年かかる見通し。
●ビデオ市場の競争
・ケーブル、衛星放送などの伝統的多チャンネルビデオサービスの契約数は減少が続く。OTTビデオの利用はさらに拡大するが、競争も激化し、事業者の淘汰が進む。
・AT&T傘下のWarner Bros.は新作映画を劇場・OTTビデオで同時公開。新ビジネスモデルとなる可能性あり。