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Title: 2022年の米国通信業界の展望
Updated: 2022/01/13
Category: 市場分析 制度研究
Areas: 米国

2022年の米国通信業界の展望

■情報通信政策
・米経済の競争促進を図る大統領令(2021年7月)に基づき、連邦通信委員会(FCC)は、ネット中立性規則の制定やブロードバンド規制等に取り組む。連邦取引委員会(FTC)は、大手プラットフォームを規制するルールの策定を目指すが、実現には時間を要する見通し。
・インフラ投資法(2021年11月成立)では、650億ドルのブロードバンド関連予算を電気通信情報庁(NTIA)やFCCに割当。 ユニバーサルブロードバンドの実現に向け、FCCは基金の拠出メカニズムの見直しを含め、取るべき施策について検討を開始。
・大手プラットフォームの市場支配力に対処するため、連邦議会では反トラスト(独占禁止)法改正の議論が継続。当面は部分的な見直しに留まる見通し。連邦レベルのオンラインプライバシー法制定の機運も高まるが、2022年中に成立する可能性は低い。
■5G・6G関連動向
・2022年には2.5GHzのオークションが開催予定。FCCは、より高い帯域や衛星、国防総省等が利用する帯域の開放に向けて検討を加速。
・主要3社(Verizon、AT&T、T-Mobile)の5G展開のプライオリティは、ミッドバンドによる高速5Gエリアの拡大。
・これにより、消費者は、移動時でも高画質映像のストリーミング、クラウドゲーム、ARなどが快適に利用可能となる。
・法人向けには、企業の設備に専用ネットワークを導入するプライベート5G網の商用化が始まる。
・第4事業者のDishが5Gネットワークを商用化予定。主要3社に対抗する競争力を持つには、2~10年掛かるとの見方。
・民間主導イニシアチブが北米の6Gロードマップを発表予定。ネットワークの信頼性、コスト効率、環境配慮や、AI、クラウド、仮想化技術の活用などの目標の実現を目指す。FCCは6Gタスクフォースを設立し、業界団体が検討している標準技術に関する評価を開始する見通し。
■ビデオ市場の競争
・AT&TとVerizonはビデオ・メディア事業をスピンオフし、通信事業に回帰。キャリアとOTTビデオの関係は競合から提携へ。
・米国のOTTビデオ市場は、既に飽和状態。大手プロバイダー間の競争はグローバルレベルへとシフト。

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