2023年の米国通信業界の展望
■情報通信政策
・2022年中間選挙の結果、連邦議会はねじれ状態となり、超党派の合意がない案件については法制化が困難な状況に。連邦通信委員会(FCC)は、3人目の民主党委員が就任次第、ネット中立性規則の復活やブロードバンドの再分類(規制強化)に取り組む。
・バイデン政権は、2030年までにブロードバンドの全米カバレッジを実現するため、ルーラル地域のブロードバンド拡充に多額の資金を投入。これらの資金によりブロードバンド環境の改善が期待できることから、FCCは、ユニバーサルサービス制度の改革は当面見送る考え。
・連邦議会では、大手プラットフォーム規制や連邦プライバシー保護法の制定に向けた超党派法案が提出。成立するかは不透明な状況。
・ICTサプライチェーンの保護は引き続き優先課題。国内ではFCCを中心に、通信エコシステムから中国製品を排除。国務省主導により、米国と歩調を合わせるよう他国への働きかけを強化。
■5G・6G関連動向
・2022年夏の2.5GHzオークションを最後に、新たな周波数割当は計画されていない。次の割当の有力候補は3.1-3.45GHzだが、既存免許人である国防総省が難色を示しており、近い将来に割当が実現する可能性は低い。
・2023年はミッドバンド5Gエリア拡大のピーク。他社に先行するT-Mobileは、2023年末にミッドバンド5Gの人口カバー率を9割とする予定。
・米主要4社が5Gコアを導入済み。T-Mobileが2023年初頭にVoNR(音声サービス)を全米で提供予定。
・5Gサービスでは、固定無線インターネット(FWA)とプライベート5Gの普及が成長を牽引する見通し。
・6Gに向けた動きとしては、民間主導イニシアチブNext G AllianceとFCCの技術諮問委員会が注力領域を特定して活動している。
■サービス全般
・2022年にインフレに伴い料金値上げを行ったVerizonとAT&Tは、今後の経済状況に応じて、更なる値上げの可能性を示唆している。
・Verizonが、サブスクサービスのコンテンツ一元管理ハブ+playを2023年3月までに商用化予定。