2024年の米国通信業界展望
■情報通信政策
・2024年11月の大統領選を控え、連邦議会での法制化が必要となるような大型・新規の政策は実現の可能性が低い。
・米連邦通信委員会(FCC)の最優先課題は、ネット中立性規則の復活。2024年夏頃までに可決される見通し。無線ブロードバンド(5G、6G)用の追加周波数を確保する目処は立たず、オークションは当面実施されない。
・米連邦取引委員会(FTC)及び司法省(DOJ)は、大手プラットフォームの市場支配力に対する監視、法執行を引き続き強化。大手プラットフォームの市場支配力に対する反トラスト(独占禁止)訴訟では、2024年に一部の訴訟で判決が下される予定。
・Huawei・ZTE製の通信機器・サービスの撤去・置換作業は、資金不足により遅れ気味。連邦議会による追加予算措置が求められている。
・バイデン政権は責任ある人工知能(AI)の開発・利用を推進。2023年10月の大統領令に基づき、AIの安全性に関する新基準の策定など、連邦政府の関係機関による取り組みが加速する。
■通信市場動向
・5Gエリア整備は、3.7GHzなどのミッドバンドによるエリア構築が継続して焦点となる。5G SAで先行するT-Mobileに続き、VerizonとAT&Tが2024年にNWスライシングを実現すべく、5G SAの導入を本格化する見込み。
・AT&Tが2024年からOpen RAN基地局の運用を開始する計画。
・マネタイズとしては、固定無線アクセス(FWA)の加入者増、モバイル料金の継続した値上げや高価格なプランの追加が寄与すると見込まれる。
■Beyond5G/6G
・民間主導のイニシアチブNext G Allianceが2024年もグローバルな6G標準検討に米国の共通要件を反映すべく、インプットを予定している。
・FCCが2024年に設置する諮問委員会は、6G特有のセキュリティ、信頼性のリスクなどへの対応計画を策定する予定。
・通信事業者としては、AT&TがAIと機械学習のネットワークへの統合に期待を示している。Verizonは、2032年頃まで6Gスマホは出ないだろうと予測している。