Title: | 身体活動から考える健康論 |
Updated: | 2024/05/23 |
Category: | その他 |
Areas: | 世界 |
身体活動から考える健康論
身体を動かすことと健康は、一様ではない。
本稿は、身体活動に関する専門家(運動の医科学者、トレーナー、アスリート、サービスの事業者等)を主な対象読者とした上で、はじめに身体活動の手段として一般的に行われている歩行(歩数)やランニング、筋力トレーニングと全死亡率との関係を調べた研究を概括し、やればやるほど効果が高まる訳ではないことを説明した。次に長期間にわたって過酷な身体活動を続けてきたアスリートたちを対象とした研究をもとに、激しい身体活動そのものよりも、対戦相手からの攻撃や、特定の競技で成功するために伴う潜在的な危険因子が死亡リスクを高める可能性を指摘した。そして、後半では、具体的だと思いがちだが、実は抽象的な「健康」と言う言葉の意味を捉えた上で、今後の健康論について考察した。
健康観が多様化した現代において、我々は、自らの現状のみならず、理想の健康観を意識して、身体活動の方法(種類、量、強度、頻度など)を常に工夫していくことが大切である。また、健康に関するサービスを提供する側は、個別具体的にターゲットとする客観的指標や健康観を示すことが求められる。今後の研究では、個人の理想の健康観と客観的な健康指標との連関や乖離を明らかにすることが求められ、こうしたエビデンスが蓄積することで、健康に関する深い理解と意識の高まりが促進されるに違いない。