毎年6月、スイスのバーゼルでは世界最大のアートフェア「アートバーゼル」が開催される。アートフェアとは、世界中のギャラリーが集い、そのギャラリーに所属するアーティストの作品を販売するイベントだ。アートバーゼルには毎年世界中のアートコレクターが集まる。バーゼルでデジタルアート中心のフェアが行われるのは初だ。この変化のタイミングで、アートワールドの中でのデジタルアートのポジションをおさらいしつつ、展望を考えたい。
研究員がひも解く未来
研究員コラム
タグ:デジタルアート
デジタルアートによる新しい食体験
〜小さなシェフが駆け回り、花が咲き乱れる
今回取り上げたいのは「デジタルアートと食」だ。少しずつではあるが、デジタルアートによる食体験の刷新を目指すサービスが出てきているため、それらを紹介していきたい。このところ理屈モノのコラムが続いたので、今回は目で楽しめるものにできればと思う。
体験型アートによる新しいお金の流れ〜チームラボがアートワールドのタブーをひっくり返した
前回に引き続きチームラボの話だ。前回は、チームラボの体験型デジタルアートが、どのようにアートワールドで評価を得てきたのかをまとめた。実はチームラボによる革新は他にもある。アートの新しいお金の流れを作ったのだ。スープストックトーキョーなどを立ち上げた連続起業家であり、アートコレクターでもある遠山正道氏はこう評する。 「チームラボはアートにおける新しいお金の流れを作った。
チームラボはなぜ世界で認められたのか〜体験型デジタルアートの源流を探る
「時代を大きく変えたシリコンバレーのIT起業家たちは全員と言っていいくらいチームラボの作品を持っています」(チームラボ代表 猪子寿之氏) 世界を動かしているシリコンバレーの起業家たちはチームラボを愛好している。チームラボの作品を求めているのは個人コレクターだけではない。世界のミュージアムもチームラボの作品を所蔵し始めている。また、チームラボには世界各国からデジタルアート展のオファーが舞い込み、さらにはデジタルアートミュージアム「ボーダレス」展でギネス記録を更新するくらいの人を集めた。世界がチームラボを求めているのだ。
世界中でデジタルアート展を開催するチームラボが2019年にある偉業をとげた。東京開催の「ボーダレス」展の年間動員数(約220万人)が、単独アーティストのミュージアムとしては世界最多となりギネス世界記録を更新したのだ。ちなみにそれまでのトップ3は、オランダのゴッホ美術館(年間来館者数:約213万人)、スペインのピカソ美術館(同:約107万人)、スペインのダリ美術館(同:約82万人)だ。これらに勝ったのだ。スゴすぎる。