後編)ミュージアムのサブスク〜国内ミュージアムサブスクの飛躍に向けて
2回にわたって国内外ミュージアムのサブスク(メンバーシップサービス)に着目している。後編である今回は、独立行政法人国立美術館(以下、国立美術館)のサブスクを、欧米各館のそれと比較しながら紹介する。なお国立美術館とは、国立西洋美術館や国立新美術館を含む国内7館の国立美術館の運営主体のことである。
研究員がひも解く未来
後編)ミュージアムのサブスク〜国内ミュージアムサブスクの飛躍に向けて
2回にわたって国内外ミュージアムのサブスク(メンバーシップサービス)に着目している。後編である今回は、独立行政法人国立美術館(以下、国立美術館)のサブスクを、欧米各館のそれと比較しながら紹介する。なお国立美術館とは、国立西洋美術館や国立新美術館を含む国内7館の国立美術館の運営主体のことである。
前編)ミュージアムのサブスク〜海外ミュージアムのサブスクはしっかりビジネスになってるぞー!
世の中の多くのミュージアムではメンバーシップサービスを提供している。会員から年会費をもらって、展覧会へのフリーパスなど様々な特典を提供する。つまりサブスクだ。
このコラムシリーズでは、様々な角度で国内外のミュージアムを比較しているが、サブスクにおいてもやはり国内外の差は大きい。欧米ミュージアムのサブスクは、ミュージアムが自力で稼ぐための重要手段になっている。魅力ある特典で会員を集め運営資金の原資を生み出しており、しっかりとビジネスになっているのだ。
毎年6月、スイスのバーゼルでは世界最大のアートフェア「アートバーゼル」が開催される。アートフェアとは、世界中のギャラリーが集い、そのギャラリーに所属するアーティストの作品を販売するイベントだ。アートバーゼルには毎年世界中のアートコレクターが集まる。バーゼルでデジタルアート中心のフェアが行われるのは初だ。この変化のタイミングで、アートワールドの中でのデジタルアートのポジションをおさらいしつつ、展望を考えたい。
ミュージアムがAIを使い始めた~来場者のための新しい体験作り
AIがさまざまな分野に浸透しつつある今、ミュージアムでもAIの活用が増えている。一般的に、AIの導入目的は「効率化」にあることが多いが、ミュージアムのような場所では、来場者の新しい体験のための「表現手段」として活用されることも珍しくない。以前のコラムで、アーティストがAIを表現手段として使うようになったことを取り上げた。今回は、世界のミュージアムがどのようにAIを使っているか見ていこう。
2024年8月3日(土)、国立西洋美術館は昨年に続き「にぎやかサタデー」を開催する。この日、来館者は作品を観ながら会話するなど自由な作品鑑賞ができる。「美術館の静かな雰囲気が苦手」、「小さな子供がいるから美術館は行きづらい」、日頃そんなふうに考えている人たちに気軽に来てもらうために設けられた年1回の特別な日だ。入場料も無料となる。
ポケモンパワーがミュージアムに行列を作る〜圧倒的集客力と残る課題
前回に続き、世界のミュージアムがいかにして子供たちにアプローチしているかをテーマにしたい。今回はポケモンだ。世界的に認知度が高いポケモンとのコラボは、これまでミュージアムに馴染みがなかった人たちの関心を集められる。ポケモンと組むことで期待できるのはなんといっても集客だ。普段閑散としているミュージアムにも人が押し寄せるため、商業的なメリットは大きい。また、ポケモンはグローバルに通用するIP(知的財産権)であるため、国内展をそのまま海外巡回に発展させることも可能だ。一方で、強力なIPとの提携ゆえの課題もある。
美術館を子供たちの身近なものに~世界の美術館が実践するゲーム活用
美術館は常に新しいお客さんを招き入れたい。特に、いかにして子供たちに美術館に来てもらうかはどの美術館においても重要な課題だ。子供に親しみを感じてもらえれば、その後も生涯に渡って美術館に通ってくれる可能性がある。また子供との交流が増えれば、地域の文化教育機関としての存在価値も高められる。子供たちに来てもらうための工夫において世界の美術館は柔軟であり積極的だ。