今日4月23日、もし米国コロラド州デンバーのロッキーマウンテンニュース(RMN)が2月27日をもって廃刊になっていなければ創刊150周年記念日でした。

と同時に、RMNの元記者たち有志によるオンライン新聞への支援が得られるかどうかの運命の日でもありました。

どういうことかというと、廃刊となったRMNの記者200人余りのうち、約30人がRMNの志を引き継ぐオンライン新聞立ち上げに動き、3人の出資者を獲得し3月中旬に実際に「INDenver Times」の名称でサイトを開きました。ただし、出資者の条件は「月5ドルの有料読者を4月23日まで5万人獲得する」というものでした。RMN廃刊時の新聞紙購読者は21万部でした。その4分の1が目標だったのです。500円ですからねえ、一見、なんとかなりそうにも見えます。

しかし、実際にはこれはとても高いハードルでした。以前、触れたようにRMNと競合紙デンバーポストはJOA(Joint Operating Agreement)を結んでいたので、RMNの読者は「ポストは読まない」と意思表示しないかぎり自動的にポストが配達されることになっていて、実数はわかりませんが他に選択肢がないのですから多くはポストに流れたと思われます。しかも、購読料は12か月契約だと月5ドル!!!からですから。いくら、有料読者は「平日の午前10時から午後5時まで経済やスポーツトピックなどで編集者や記者とリアルタイムにチャットをし意見交換できる」などのネットならではの特典があったとしても、これでは苦戦は免れなかったでしょう。

かくて、新星INDenver Timesの有料読者獲得は大苦戦。発表はされていませんが、内部情報として1万にも届いていないという話が報じられています。ただし1週間前に出資者の一人は「有料読者数だけが正式スタートするかどうかの判断材料じゃない。アクセスのボリュームも考慮する」と言っていて、1か月間に7万ユニークユーザー、31万11千ページビューというそこそこの数字だったことから若干の希望もあったのですが、22日の晩になって出資者側が撤退を表明したとデンバーポストが伝えています。

ポストによると、出資者が気に食わない理由のひとつが、記者が多すぎるということだそうです。オンライン専門になったシアトルポストインテリジェンサーもたしか記者20人体制だと伝えられました。それに比べれば多いかもしれませんが、学校新聞じゃあるまいし、それ以下の体制で読者からお金を頂戴するに値する新聞が作れるのかおおいに疑問です。改めて課金モデルのネットジャーナリズムの困難さを思わずにはいられません。

INDeverのスタッフは次の出資者を募ると言っているようですが、このご時世では正直、厳しいでしょうね。サイトはしばらくこのまま継続して大逆転を狙うようですが、そうならなければ、この1月、ボランティアで取材、執筆して希望をつないできた記者の皆さんは無念でしょうね。ちなみに以前ご紹介した全米新聞従業員レイオフ地図Paper Cutsによれば今年に入って新聞社を去った人の総計は8484人以上だそうです。

(24日追記)23日付けのデンバーポストの報道によるとINDenver Timesの有料購読者は3000人だったとのことです。月5ドルだと1万5千ドル。これに多少の広告収入があってもとても30人の記者に給料は払えないというのが出資者側の言い分のようです。

(5月1日追記)歌田明弘さんが地球村の事件簿で<「新聞」の終焉が見えてきた>を先日アップされたのでご紹介します。