9万件のアフガン軍事行動関連文書、25万件の米外交文書の暴露などで世界的に注目されたジュリアン・アサンジ(Julian Assange)氏、英国・ロンドンのエクアドル大使館に逃げ込んで2年以上、一歩も外出が許されない状況で、体調を崩しているようです。

これは、支援者の話として17日のThe Telegraph紙が伝えているもので、「命に関わるかも知れない心臓の不具合」「慢性肺疾患」「「不整脈」「高血圧」などのほか、日光浴が出来ないのでビタミンD不足による骨の衰え、喘息、糖尿病、さらには認知症のリスクが高まっているとのこと。

このためエクアドル側は、英国の外務当局に「外交官用の車でアサンジ氏を病院に連れて行く許可」を求めましたが、返事はなく、無視されているそうです。大使館の周りにはロンドン警視庁の警官が24時間体制で見張っているので、当局の許可なしではアサンジ氏は病院にも行けない状態です。

アサンジ氏が大使館の外に出れば、逮捕され、強姦容疑で手配しているスウェーデンに移送される手はず。(アサンジ氏と支援者は、そこからすぐに米国に強制送還されるのは必至と判断しています) 病気治療のために病院に向かっても容赦無く即逮捕なのか?この件について、ロンドン警視庁のスポークスマンは「そんなことは検討したこともない」と回答を拒否したとか。

一方、アサンジ氏自身は、どこで誰に語ったのかTelegraphは明らかにしていませんが、この警視庁の厳戒ぶりに「毎月24万ポンド(約4千100万円)、2年余りで通算7百万ポンド(約11億円)も無駄遣いしてる。もっと有効な使い道があるだろうに」と皮肉っているそうです。

また、同時に「米国が強制送還に出てくる前に、英国を離れる時間がほしい。そうすれば、どの親もそうであるように子どもに会いに行く」「子どもの一人は紛争地帯に閉じ込められている。そこは政府が崩壊し、暴力が蔓延している」「私はそこへ行けない。親として守ってやりたいが何も出来ない」「私は40歳代前半だ。この年代の男は家族を支える役回りで頼られる立場だが、私はそれも否定されている」などと、父親の切ない心情を述べてもいるようです。

これも、2年有余も籠の鳥状態になっていることからくる、精神的な辛さ、肉体的な衰えによるものでしょうか。

たまたまですが、アサンジ氏は、オークションサイトCharitybuzzで「Lunch and Laptop Check-Up with Julian Assange at the Embassy of Ecuador, London」という呼びかけを12日から始めているのを知りました。オークションで最高値を付けた人と、エクアドル大使館内でアサンジ氏とランチを一緒に摂り、国際情勢などの議論をし、おまけとしてパソコンやモバイルのセキュリティチェックも、元ハッカーという専門家の立場からしてあげましょうという試みです。

その利益は、アフリカとインドで恵まれない子供たちの支援活動を展開しているArms Around the Child(AATC)に寄付することになっています。その趣意書の中で、アサンジ氏は「薬、きれいな水、食料が得られずに死んでいく多くの子どものことを思うと一人の父親として胸が痛む。これは完全に防げる問題のはずだ。未来を変える子供たちを守らねばならない」などと記しています。

自分の子どもには今、何もしてやれないが、せめて途上国などで苦しむ子供たちになにかの形で役に立ちたいという切なる思い。先のTelegraphの記事で語られた心情に通じるものを感じます。

オークションサイトが付けた「Estimated Value(推定価値)」は「5万ドル」。締め切りは今月28日ですが、今のところ応札者は一人だけで、その値は14日に付いた「5千ドル」。

あと10日ほどあるにしても、14日からだれも応札していないのが不安なところ。オークション結果が5万ドルに遠く及ばないままに終わって、アサンジ氏が、またまた精神的に疲弊して、体調がますます悪くならないかが他人事ながら気がかりです。