子供の頃に他人の家の呼び鈴を用もないのに押して即逃げるという、いわゆる「ピンポンダッシュ」というイタズラがあったように思いますが、このデジタル呼び鈴だと、”犯人”はあとでバレちゃいそうです。
アマゾン傘下のRing社製のVideo Doorbellのことです。ベルボタンを押した時はもちろん、人間が近づくのを感知すると、スマホやタブレットにアラートと共に、玄関先の様子がストリーム映像で映し出され、その様子が録画されて残るのです。
一般家庭でも当たり前になったWiFiを利用するので、家のどこにいても来客(時には不審者!)を確認できます。所用で家にいなくても同様です。たとえ、地球の裏側にいても、です。こんな感じのよう。お値段は99ドルからあります。
そして、この会社にアマゾンが昨年、10億ドルも出して買収したのは、玄関前の映像をクラウドに安い料金で収容してくれるサービスがあるからです。1ヶ月3ドル、年払いだと30ドル(1日8セント!)で、2ヶ月前までの映像を好きな時に見返すことができるのです。
で、Ring社はなかなか商売上手のようで、各地の警察や自治体に「セキュリティカメラ」の効用を謳って積極的に売り込んでいて、最近のAPの記事によると、あちこちで売り込みに成功しているようです。
たとえば、ロサンゼルス郊外のArcadia市は、Ring社のカメラ1000台分の補助金として5万ドルを支出したそうですし、インディアナ州のHammond市では今年4月、一台につき125ドル割り引くバウチャーを配布したところ、たちまち500枚の定数に達したそう。その費用は37,500ドル。こういう動きは全米に広がっているようです。
上の写真のように視野はかなり広く、解像度も高い。そして、夜は赤外線センサーで暗くても画像が映るとのこと。これもRing社のサイトから。
もう立派な監視カメラですね。そして、Ring社は今年5月Neighborsというアプリを公開しました。ご近所地域を指定しておくと、その地域内の犯罪・安全情報が得られたり、地域内で同じアプリを使っている人同士でビデオが共有できたりするようです。The Bridgeの記事によると「ご近所同士の『見張り番』に近いようなコミュニティづくりが生まれることを期待しているようだ」とのこと。
となれば、警察が指をくわえているわけもありませんね。どうやら、Neighborsのネットワークに各地の警察が関心を示しているようです。とりわけ助成を受けた家庭を中心に警察がビデオ映像へのアクセスを求める動きもあるよう。
Ring社では、ビデオ映像の提供は「利用者の同意なしには行わない」と言ってるようですが、事件に絡んで「捜索令状」が出れば、警察は自由に見られるということになるのでしょう。
こんなことから、「この動きは近隣を常時監視地帯にするようなものだ」という懸念も出ていると、APの記事は指摘しています。
そしてAPの記事を紹介したAXIOSは、今年1月にワシントンポストに載ったテクノロジーコラムニス トGeoffrey Fowler氏の記事からこんな言葉を紹介していました。
「利用規約の更新、顔認識の機能向上、またはハッキングによってドアベルがプライバシー侵害に変わる可能性がある」
なお、Ring社のVideo Doorbell、実は日本のアマゾンサイトでも売っています。しかし、Ring社のサイトを開くと最初に「あなたの地域、国へは出荷していない」というポップアップ画面が出ます。ということは何らかのルートで輸入されていて、多分、WiFi環境で機能するのでしょうが、録画サービスは受けられないでしょう。
ということは、一瞬で逃げるピンポンダッシュ、録画が残らない日本では、まだやれるかもw
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