書籍の割引通信販売から始まって、次々と新機軸を打ち出して小売業界の王者になったアマゾン。今度の新機軸は「手のひら決済」のようです。
これはまだ内部テスト段階ですが、これを特ダネで報じたニューヨークポストによると、アマゾンのプライム会員を対象にするもので、まずは1昨年、アマゾンが買収した高級食料品店のホール・フーズ(Whole Foods)の実店舗での展開を想定してるようです。
その方法は、日本でも実証実験が行われたイオンの手のひら決済が、手のひらの静脈を読み取って個人認証するものだったのとは異なり、手のひらの幅や指の長さなどで認証するものだそう。
最初の使用時に、この情報を登録して、決済用のクレジットカードと紐付けしておけば、あとは、非接触型のスキャナーに手のひらを一瞬かざすだけで決済が済むとのことです。その時間は、なんと0.3秒だそう。カード決済より10倍速い。
NYポストの報道を受けて報じたBusiness Insider(B.I.)によると、来年初めにホールフーズのいくつかの店に導入、ゆくゆくは全米500近い店舗に広げ、そのあとは一般の小売店舗と支払いプロバイダーへのライセンス供与を検討出来るだろう、としています。
決済時間が速いだけじゃなく、買い物のたびにクレジットカードを財布から出す必要がない便利な決済方法として幅広く採用される可能性にも言及しています。
(もし、どこでも利用できるようになれば、例えば海水浴の際、ビーチにカード、現金入りの財布を持っていく必要がなくなるw)
こういう便利な新決済方法として、昨年夏ごろに集中的に報じられたのが、スウェーデンで広まっているという埋め込み型のマイクロチップによるものでした。
親指と人差し指の間あたりにカード情報などを入れた米粒ほどのチップを注射しておけば、現金もカードも持ち歩かなくても済む、というもので、鉄道会社が対応したことで注目されたようでした。
当時は「4000人」がこの簡易手術を受け、大きくひろがる見込み、という論調の記事が多かったのですが、グーグルで検索する限り、その数字が拡大したとする記事は見当たりません。
どうやら、このチップは微弱ですが無線電波で交信するため、ハッキングに弱いというセキュリティ上の懸念があり、企業などで一括導入すると、会社側にプライバシーが筒抜けになるなどの問題があることが、広がりを欠くことに繋がっているようです。
このセキュリティとプライバシーの懸念はアマゾンの手のひら決済にもありうるとB.I.は指摘します。「最初の認証時のスキャンで(実際には認証に使われない)指紋もその他の情報も同時に提供するわけだから」
そしてNYポストは技術倫理を専門とする研究者Stephanie Hareさんの警告を記事の最後に紹介しています。
「なぜ、そのデータを差し出すのか。リスクを理解せず、みんなメリットを買いかぶりすぎ。今現在、データを盗み出すのにとても長けたいくつかの国があるのよ」
う〜ん、海外からハックされ得るということですね、そう言われるとちょっと怖いですが、世界でもっとも現金を使わない国の一つスウェーデンほどじゃなくても、日本も消費税引き上げに伴うポイント還元制度の導入に見られるように、国もキャッシュレス社会を目指してるのは明白。
キャッシュレス社会が進展すれば、便利なものに流れるのも自然ですが。その時、世界的な影響力を持つアマゾンの方式が注目される可能性は残るのでしょう。
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