<Greenwash>という単語を初めて目にしました。
ググってみると「環境に配慮しているようにしてごまかすこと。うわべだけの欺瞞的な環境訴求を指す」「うわべを取り繕うというwhitewashと環境をイメージしたgreenとを合わせた合成語」などとあります。
まあ、良い意味ではないですね。それが誰にというかどこに向けて使われていたかというと、先週、「気候変動から地球を守る地球基金に100億ドルを拠出する」と宣言したアマゾンのジェフ・ベゾス氏に向けられているのです。
これを見出しに取ったのが英国のDaily Mailです。タブロイド紙の長い見出しを和訳すると「気候変動と戦うというというベゾスの100億ドルの約束は、アマゾンは莫大な量の炭素を排出し、何億ドルもの税金を回避していると語る評論家にGreenwashだとけなされている」というものです。
これに続く本文ではいろんな分野の批判的な声を山ほど集めていますが、これまた長いので、冒頭にある要約を紹介します。
「ベゾスは1300億ドルの資産から100億ドルを基金に出すと約束した」「彼の会社は今年、2016年以来初めて連邦所得税1.62億ドルを払った」「その一方、ベゾスは先週、ビバリーヒルズの豪邸を1.65億ドルで購入した」「アマゾンはコスト削減のために従業員を野蛮な条件に晒していると批判されている」「eコマースの巨人は石油とガス業界からも利益を得ている」
100億ドルで騒いでるけど、それはろくに税金を払わず、従業員を搾取し、炭素を出す源のBPやSHELLなどの化石燃料会社が石油探査に役立つサービスの提供で利益を出し、その一方で、(愛人のためと噂される)豪邸購入の無駄遣いもしてるじゃないかと、クソミソです。
だから、ベゾス氏の約束は欺瞞的なうわべだけ環境重視の「greenwash」だと。
この単語を使わないものの、ベゾス氏の地球基金創設を公表したInstagramでの説明に疑義を唱え、欺瞞的だという報道はいくつもあります。
ベゾス氏の投稿はこれです。
「この惑星に対する気候変動の壊滅的な影響と戦う新しい方法を探求するために一緒に働きたい」
以前から、気候変動への企業としての積極的な取り組みを求めてきた社内グループAmazon Employees for Climate Justice(AECJ)がすかさずTwitterで声明を出します。ちょっと哲学的です。
「我々はベゾス氏の慈善は称賛するが、一方の手で取りつつあるものを、別の手で手渡すことは出来ない。(one hand cannot give what the other is taking away)」
アマゾンは配達のために無数の車を使うので、世界最大の公害発生源の一つで、年間4440万トンの炭素を排出する。それなのに、石油・ガス会社にクラウドサービスを提供し続けてるのはどういうわけだ、というのです。
この<one hand~~~~>のフレーズはいくつかの記事に引用されます。英Independent紙はその一つで、「ベゾスが100億ドルの地球基金の偽善を非難された」と見出しを出します。
こう続けます。「資産1300億ドルの世界一の金持ちが地球基金を作る。それは普通の若者が847ドルを寄付するようなものだ」
そしてGreen Peaceの上級広報担当者の言として「地球基金の発足は歓迎する」としながら「気候変動が我々の惑星にとって最大の脅威と言いながら、同時に石油・ガス業界に高度なコンピューティング技術を提供して、業界を後押しするのは偽善的だ」と紹介します。
このほか、デジタルニュース最大手のViceは「100億ドルといっても、世界最大の公害源の一つからのものにしてはあまりに少なく、あまりに遅い」と非難しました。
さらにBloombergも、100億ドルについて、「1日あたり3億2500万ドルづつ財産を増やしてる人物にとって、小さな凹みでしかない」と貶し、ウォーレン・バフェット氏のGate財団への360億ドルの寄付の前例をあげています。
多くの記事はAECJの存在、その圧力にも言及しています。客観的に書かれたNYタイムズの記事にもその影響力について言及がありました。してみるとベゾス氏の地球基金構想は、その圧力をかわすためのGreenwashの側面を否定しきれないということでしょうか。
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