恐ろしいことです。先月25日に、米ミネソタ州ミネアポリスで、黒人男性ジョージ・フロイドさんが白人警官に殺害されてから1週間、全米で怒りの抗議行動が高まる一方ですが、これを取材し、報じるジャーナリストへの警察の意図的と見られる攻撃が各地で頻発しているのです。

これを当初からネット上の映像を中心に追っているNick Waterさん(BellingCatの上席調査員)の解析によれば、日本時間で今朝未明の段階で100件に達したそうです。

ミネアポリスで取材中の記者が、致死性の低い弾薬料の弾に打たれて左太ももをえぐられています。

WatersさんはIncidentが100に達したのを機に、こうツィートしました。「私がこのスレッドをスタートさせた時は、多分、7つか8つの例が得られるだろうと思っていた。でも、私が見たのは警察による報道の自由に対する深刻な無視だ」

調査報道サイトThe Interceptの共同創設者、Jeremy Scahillはこうツィートします。

「この国では、警察はいつだってジャーナリストを攻撃し、逮捕してきた。しかし、それらは個人で発信するジャーナリストが多かった。だから、誰も関心を払わなかった。今は警察が意図的に一貫して組織ジャーナリストを攻撃している」

事実、その数字も跳ね上がっています。一連の抗議活動がらみのincidentを追っているUS Press Freedom Trackerツィートにはこうあります

「前例のない数字だ。我々は過去3年間、年間100~150件の報道の自由侵害事件を記録してきた。ところが、今はたった3日間で起きた100件以上を調査している」

「少なくとも19人のジャーナリストは逮捕された。少なくとも36人の記者からゴム弾などを撃たれたと報告があった。その半分はミネソタだ。少なくとも76件のジャーナリスト襲撃があった。肉体的なものと射撃だ。その80%は警察による」

ということは20%は警察以外から攻撃を受けたということです。

コロンビアジャーナリズムレビュー(CJR)のMediaTodayの特集記事では、各地のIncidentを細かく追い、リンクも貼っている労作ですが、そこには「デンバー、ピッツバーグ、フェニックス、シアトルでは、ジャーナリストが抗議行動参加者に攻撃された」と記します。

そしてワシントンDCでは(トランプ政権寄りの)FoxNewsの取材クルーが攻撃され、記者がマイクで殴られたそう。アトランタでCNNの本社が襲われたのは日本でも報じられました。

こうした動きにワシントンポストの記者で、かって、黒人青年が白人警官に射殺された事件を契機とするミズーリ州ファーガソンでの暴動がらみで逮捕された経験のあるWesleyLoweryさんはこんな風にツィートしています。

「ジャーナリストは(報道の自由を定めた)憲法修正1条を使う特別に保護されたクラスじゃない。ジャーナリストが催涙弾やゴム弾の標的になったり逮捕されるのも、もはや、とんでもないことじゃない」

これを受けて、CJRの記事を書いたJon Allsop 記者はこう書きます。「黒人差別の抗議活動を報道することは有色人種の記者は白人記者よりはるかに危険だ」 そして、いくつかの具体例を示しています。

Loweryさんの指摘は、もちろん、皮肉(と嘆きと怒り)を込めてのことでしょうが、それほど、今のアメリカではジャーナリズムと警察との緊張関係が高まっているということでもあるのでしょう。

そして今現在も抗議行動の沈静化の兆しは見えず、CNNは、「マスコミは国民の敵だ」と言い放ったトランプが、鎮圧のために米軍を出動させかねない動きを報じています。そうなれば記者たちは・・・、いや想像もしたくありません。