新聞週間に因む全国世論調査が今朝の読売朝刊に掲載されていました。
そこで当方が目を止めたのは「ニュースを知るために利用する主なメディア(三つまで複数選択)」の項目でした。
民放テレビ62%、新聞54%、NHKテレビ50%に続いてツイッター、フェイスブックなどのソーシャルメディアとスマートフォンなどで使うニュースアプリがそれぞれ37%とあり、デジタル時代を感じさせるのですが、そこにYouTubeのニュースチャンネルがありません。
というのは、先月下旬に公開されたPew Research Centerの大掛かりな調査ではアメリカの成人の26%がYouTubeからニュースを入手していて、うち13%が「最も重要な入手方法だ」とし、59%が「重要な入手方法だ」と回答したというのを思い出したからです。
平たくいうとアメリカの成人の4人に1人がYouTubeのニュースチャンネルを見ていて、その4分の3が「大事なニュース入手方法だ」と答えたということは2割近くの人にとって大事なメディアだということですね。
日本人にとってはちょっと意外な感じを抱いたまま、その時は、膨大なデータに恐れをなして入り口でやめてしまいましたが、読売の世論調査を機に通読してみました。
Pewの調査は、今年1月に12,638人を対象にし、YouTubeのニュースサイトについては最低10万人の視聴者登録のある377の人気ニュースチャンネルの提携先やイデオロギー、資金調達などを分析、また最も視聴されている100チャンネルの2967本のビデオの中身を分析したとのことです。
調査はとても緻密に行われていますので、ここでは大雑把に把握した内容をまとめてみます。
新聞の世論調査では「新型コロナウィルス に関する情報」と限定しつつも「特に信用する」メディアを3つまで選んでもらった結果、トップ3は先の「ニュースを知るために利用する主なメディア」と同じようになりましたが、「専門家や著名人のサイト、SNS、ブログ」は10%、知人や一般人のSNS 、ブログ」に至っては4%と、日本人のネット情報への低い信頼感を表出している印象があります。
しかし、Pew調査ではニュースチャンネル視聴者の66%が「現在の出来事をよりよく理解するのに役立つ」と答え、73%が、その内容が「ほぼ正確だと想定している」と見做しているそうです。
内容的には48%が事実や情報のストレート記事を探し、51%が意見や解説を求め、両者はほぼ拮抗しています。
発信する377の人気チャンネルのうち。CNNやFox、あるいはオンラインニュースメディアや新聞社などと提携する既存メディア系は49%、それらと全く関係ない独立系が42%に大別され(残りは政府系とか調査会社系など)、独立系は1人のパーソナリティ主導のケースが多く、著名YouTuberが57%、有名人13%の計70%に達します。
既存メディア系では、その比率はグッと下がって、有名人16%、YouTuber6%の計22%止まり。多分、多くはニュース機関からのビデオを中心に編成しているからでしょう。
ちなみに日本のYouTubeで「ニュースチャンネル」で検索したところ、数では米国に比較にならず、万単位の視聴者登録があるのは数えるほどでした。
米国のコンテンツですが、昨年12月に最も試聴された100チャンネルの約3000本のうち、内容がポジティブでもネガティブでもなかったのは69%でしたが、独立系に限るとネガティブが37%に達し、17%にとどまった既存メディア系の2倍以上に達しました。
これはネガテイブ系の平均再生回数が18万4千回にたいし、ポジティブ系が11万7千回なのと関係があるのでしょう。主たる収入源は再生回数に比例する広告の収益分配ですから。どっちでもないのは7万2千回止まりです。
これと関係するかどうかわかりませんが、QAnon(トランプ支援の陰謀論拡散グループ)、少女買春のジェフリー・エプスタイン、ワクチン接種反対グループなど”陰謀論”関連には、独立系のビデオの25%が言及した一方、既存メディア系のそれは2%にとどまったそうです。
ただし、新聞、テレビと違って各チャンネルの党派的な偏りは全体として薄く、あえて言えば、右寄りが8%、左寄りが4%だと分析しています。
視聴者の属性は、30歳未満が34%と若くて、男性比率が高く(58%)、白人は全米の成人63%に対してニュースチャンネル視聴者に占める割合は50%に止まるとの結果でした。
なお、コンテンツで最も人気なのはやっぱりトランプ大統領関連で、平均25万回も試聴されていました。コロナ蔓延後はさらに高まったに違いありません。これも大統領選に何らかの影響を及ぼすのかも。
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