ちょっとショックな数字に遭遇しました。かって部数1000万部を超え、世界一を誇った読売新聞の有料購読者数がニューヨークタイムズ(NYT)に負けていることに気づいたのです。

今月5日公表のNYTのプレスリリースによると、2021年第1四半期のデジタル版の有料購読者は、コアのニュース製品が16万7千増えて525万7千部に達しました。

これの他、料理(年40ドル)やクロスワードなどのゲーム(年39.95ドル)、オーディオのデジタルで有料の非ニュース製品が13万4千増で173万4千に達しました。

これらデジタル製品の数字に、従来からの「紙」の新聞、82万5千を加えると、781万6千部。昨年同期よりトータルで197万5千部のプラスです。

対して、最近目にした日本のABC協会の2月の数字によれば、一時より減ったとはいえ、まだ世界一なはずの読売の朝刊部数は719万2千部。コアの新聞以外の小学生〜中高生向けの新聞を加えても748万5千部。NYTより30万部ほど少なくなってしまったのです。

NYTの料理やクロスワードなどの単品アプリ商品を総部数に加えるべきかなどの異論もあるでしょうが、少なくとも有料商品だし、読売の非大人向け新聞も勘案してのことですから、正確とは言えませんが、大まかな比較にはなっているでしょう。

新聞のデジタル化が進む米国では、NYTの他に、デジタル版の読者獲得に邁進するウォール・ストリートジャーナルやワシントンポストなどの有力紙に続いて、紙で最大部数を誇ったUSA Todayも4月初めから、プレミアムコンテンツをpay wallで囲むようになり、それを読むのに月5ドルを払うよう求めるようになりました。

Poynterの記事によれば、USA Todayの親会社GannettのMike Reed CEOは「今後5年間でデジタル有料購読者は1000万に到達しうる」と今年1月に述べたそうです。

そして最近のMedia Postが報じた、有料購読戦略に関わる Mather  Economics社のレポートによると、新聞のデジタル購読は遅くとも2017年にはプリント(紙)での購読を上回るとし、オンライン購読のペースが過去の成長を上回れば、デジタル優位は2024年半ばに起こる可能性を指摘しています。たった3年後のことです。それがこのグラフ。

NYTは2025年までにデジタル読者1000万という目標を2年も前に、当時のMark Thompson CEOが公言していました。今回の発表でその可能性は一段と高まりました。AXIOSのメディア担当Sara Fischerさんは「NYTは予定より早くその目標を達成する道を歩んでいる」と記しています。

少なくとも米国ではこの流れは止まらないでしょう。小学生の時から紙の新聞に親しんできた当方としては、個人的願望として日本の流れがゆっくりであることを願っていますが・・・・