1月6日の連邦議会議事堂乱入を扇動したとして、殆どのソーシャルメディアのアカウントを停止されているトランプ前大統領。4日には、Facebookが2年間の投稿禁止を正式に決めました。

その翌日、トランプ氏はノースカロライナ州グリーンビルで開かれた共和党の集会に姿を見せ、「我々の活動は終わっていない」「事実、始まったばかりだ」と気勢を上げ、持論の「コロナウィルスの中国・研究所漏洩説」を強調、「中国に10兆ドル(1100兆円)の賠償金を求める」と捲し立て、1250人の聴衆が立ち上がって声援を送るスタンディングオベーションが起きるという人気ぶりだったとか。

トランプ氏が大統領を退任後、公の場に姿を表したのはこれが初めてのことで、2024年、大統領選への意欲を強く滲ませたようです。

しかし、大統領時代、トランプ氏をトランプ氏たらしめていた頻繁なTwitter発信をはじめ、Facebook、Instagram、YouTube、Snapchatなどの有力ソーシャルメディアでの発信をことごとく断たれているのは「再出馬」に向けて苦しいに違いありません。

5月なかばになWall Street Journal(WSJ)が、アカウントが停止にならない「不滅のプラットフォームをトランプ陣営が模索中」と報じ、具体例として<Clout Hub>や<Ramble>など4つを上げていましたが、そのいずれともまだまとまっていないようです。

その”つなぎ”として5月初めに始めたブログ<From the Desk of Donald J.Trump>もいまいちパッとせず、トラフィックもインタラクションも低調で、1月弱で止めてしまいました。

で、次の手段が必須と見られる中、側近のJason Miller氏は「より広汎な取り組みについてすぐに詳しい情報が得られよう」と述べ、「それは別のソーシャルメディアに参加する前触れか?」との保守系政治評論家の問いには「その通りだ。乞うご期待」と思わせぶりですが、具体的な動きは不明なまま。

 


そこで、トランプ氏とその側近らは、選挙戦形式の集会への復帰を計画、その場でバイデン政権を批判したり、コロナウィルス問題で、ファウチ博士や中国をあげつらうことでメディア露出を図ることにしたようです。

事実、グリーンビル集会でのトランプ発言は新聞、テレビも取り上げていました。次期大統領選への出馬が折に触れ、メディアに流れ、なんだか既成事実化しつつある中では、大手メディアも取り上げざるを得ないのを見越してのことでしょう。

なにせ、Facebookの決定に対するトランプ氏の声明で示した、FacebookのCEOザッカーバーグ氏に向けての挑発「次に私がホワイトハウスにいるときに負債を夕食会に招待しない」は、「次期大統領選に出馬することを最も強く示唆したもの」とGuadianが書くほどですから。

ロイターの世論調査では、共和党支持者の53%が、いまだに大統領選に不正があったので「真の大統領はトランプ氏だ」と信じているくらい、圧倒的な人気を保持してもいます。

トランプ政権で国家安全保障担当の補佐官だったマイケル・フリン氏が極右のQ Anonの集会で「ミャンマーのようなクーデターが米国でも起こるべきだ」と暴言を吐いたのもこの脈絡でしょう。

ただし、トランプ氏の兄の娘であるMary Trumpさんにはすこぶる評判が悪い。3月のInsiderの記事ですが、彼女は「前大統領は支持者からお金を騙しとる助けに共和党を使ってるだけ」と糾弾していました。「ドナルドは、政治に関心がなく、この国にも共和党にも関心がない」「すべては権力の掌握を維持することにある」とクソ味噌。

そのお金をどう使うのか。ハーバード大ケネディスクールのJoan Donovan氏は「Facebookの2年間投稿禁止は十分ではない。次の大統領選に間に合ってしまうから」として、こう指摘します。

「解禁後、彼はFacebook広告に1億ドルを投入し、熱心な支持者を再構築できてしまう」

しかし、トランプ氏の財政事情も厳しくなってることを伺わせる報道もありました。

題して「金メッキの名前が輝きを失ったので、トランプの不動産価格が暴落

なんでも、AP通信が、シカゴ、ホノルル、ラスベガス、ニューヨークにある11のトランプブランドのビルで過去15年間に行われた4,000件以上の取引を調査したところ、購入可能な一部のコンドミニアムやホテルの部屋の価格が3分の1以下に下落していることが分かったそうです。

トランプ氏が大統領に就任してから1年も経たないうちに、パナマ、トロント、マンハッタンのホテルやコンドミニアムが「トランプ」の名前を使うために何百万ドルも払ったそうですが、今は昔。

少なくとも不動産業界は、またの「トランプ大統領はない」と見切っているようです。