コロナ禍で「三密」を避けるために始まったらしい在宅勤務、なんだかすっかり定着したようです。

三菱地所が2020年6月からはじめた首都圏のオフィスワーカーのワークスタイルに関する三回目の調査(2021年6月)では、毎日、オフィスに通って仕事をしているサラリーマンは3人に1人(33%)しかおらず、残りの人たちは程度の差はありますが、自宅などでテレワークをしているようです。

そして、コロナ禍終息後も、8割の人が毎日、オフィスに通うのではなく在宅のテレワークを希望している、という結果になりました。私などは、完全リタイアした時に、毎日、通うオフィスがなくなった寂寥感から鬱になりかけたほどですから、時代は大きく変わったのですね。

とはいえ、住宅事情が厳しい首都圏だけに、テレワークのスペース確保に苦労している、という話も時々、見かけます。

「テクノロジーを活用し、働く人々へ歓喜を!」をミッションにしているという株式会社Work with Joy(東京都品川区)がITエンジニア、クリエーターを対象に「私のリモートワーク環境 写真展」の作品を募集、次々アップしていますが、それを見ると、ちっちゃなサイドテーブルと丸椅子洗濯機の上愛犬の荷物置き場、さらにはベッドの上、などなどもあって、その道の専門家たちもスペース確保に苦労しているようです。

しかし、住宅事情の良いアメリカなら、そんなことはないだろう、と思っていたら、そうでもないことを示す調査に出会いました。ホームセンターのマーケティング会社というCraftJackが今年6月後半、自宅でリモートワークをしているアメリカ人1520人を対象に行ったものです。

それによると、きちんとしたホームオフィスを整備している人は32%に止まり、ベッドルーム(31%)、リビングルーム(23%)、と続き、キッチンという人も9%いました。アメリカと言えど、都市部に住むリモートワーカーはパートナーや家族との共用スペースで仕事をせざるを得ない場合が少なくないようです。

で、実際に仕事をする場所は、ソファに座ってが45%、ベッドの上でが38%、屋外でが20%、クローゼットでは10%だったそう。

さらに、「仕事をしたことがある場所」に広げると、カウチ(68%)、ベッド(65%)、屋外(54%)、キッチンカウンター(51%)、クローゼット(35%)と多彩。

ちなみにベッドで仕事をしたことのある人の職種で最も多かったのは不動産関係で80%。以下、エンジニアリング、経理、ヘルスケア、IT/コンピュタサイエンスで、逆に少なかったのは保険の42%で、以下、法律関係、人事/雇用と続き、メディア・ジャーナリズム関係者と教育関係者は53%でした。

なぜ多くの人が椅子に座って机に向かず、変な場所や姿勢で仕事をするのか?これは、どうやら体が痛くなるためらしいのです。在宅勤務中に痛みや不快感を感じた人は74%にも達したそう。背中や首、肩などです。

その原因は、仕事中に体をサポートする椅子の性能がオフィスのものより劣るから、と回答した人が64%もいました。だから、雇用主が費用を負担してくれるなら、よりサポート力の高い椅子を買いたい人は78%にも。

とは言え、リモートワークにビデオ通話は付き物。その場合は椅子に座って対応せざるを得ない。そして背景にも気を使う。64%の人がなんらかの方法で背景を整えたそうで、63%の人が通話中の自分の見た目を良くするために平均195ドルを支出したそう。より良いウェブカム、リングライト、観葉植物、壁にかける絵や写真などにですね。

それが面倒だから、とバーチャルな背景を使う人はたったの11%だったそう。また、背景が大事だという人の職種で多いのは会計、不動産、エンジニアリング、メディア・ジャーナリズムなどでした。

なお、米国ではリモートワーカーで同じくリモートワークする人と同居する人も少なくないようで(日本もそうかな?)、そのうちの37%はスペースの関係で同じ部屋で仕事をしています。当然、相手の騒音にしょっちゅう悩まされる。それが69%にも達し、これでリモートワーカーの配偶者やパートナーとの関係が悪化したという回答も58%に達したとか。

また、ビデオ通話中に”招かれざる客”が突然、画面に映っちゃった経験のある人は69%もいました。その第一はペットで43%、ついで子供の37%、パートナーの34%でした。これも住まいのスペースが十分ならあまり起きないことかもしれません。まあ、在宅テレワークの悩みは多分、日米共通するのでしょう。