米国のNiemanLabが、「Facebookがニュース業界と離婚しそうだ」という見出しの記事を16日付けで出しています。

Facebookの日本版ではニュースを提供していないので、ちょっと分かりにくいのですが、実は英米独仏露の5カ国版ではFacebook Newsというセクションがあり(私も見たことはないですが)、そこに新聞記事を中心に多くのニュースがリンク付きで紹介されているとのことです。

そこに記事を提供している新聞社などに、Facebookは料金を支払っているのですが、先日のWall Street Journalの記事によれば、年間でNYタイムズに2000万ドル強、Washington Postに1500万ドル強、WSJには1000万ドル強とあり、その他のニュース機関にも相応の支払いが行われるているとのことで、総額は分かりませんが、何億ドルにも達しているようです。

この契約が結ばれたのは2019年で、3年契約でしたが、それが切れる今年になって、Facebook 側に再契約する兆しが見えないということなのです。一体、何があったのか、と思っていたら、昨日、公表された英オックスフォード大ロイタージャーナリズム研究所の年次報告書「Digital News Report 2022」に、そのヒントがありました。

調査は2022年の1月末から2月初めにかけて、46カ国で各国2000人余り、総計9万3,000人以上を対象に行われ、今年は「「ニュースを意識的に避けている」=選択的回避が5年前の2017年には平均29%だったが、2019年に33%、そして今回の2022年の調査では38%まで増えている点について焦点が当てられていました。(このへんについては桜美林大の平和博さんが詳しく解説されています)

ニュースへの関心も薄れていて、「とても」「極めて」関心があると答えた人は5年前の米国では67%だったものが、今年は47%に、英国では70%だったのが43%までそれぞれ急落しています。

さらに、全くニュースメディアに接触しない、「ニュースから遠ざかった」人もどこの国でも一貫して「容赦無く」下がり続けていて、米国では2013年には3%だったのが、今年は15%にも達したそうです。

そして、各ニュースソースへの接続も一貫して下がっていて、米国の場合、2013年と2022年で見ると、テレビが72%から48%へ、新聞が47%から15%へ減少し、ソーシャルメディアだけが27%から42%に増えています。しかし、そのソーシャルメディアもトランプ大統領の誕生で賑やかだった2017年の52%から9%も下がっています。ニュースへの関心が下がっているのです。

この中で、Facebook は多くの人がニュースを入手する手段になっていますが、それもピークの2016年の42%から2022年には30%まで下がっています。しかし、この5~10年で成人となった18歳から24歳の<ソーシャルネイティブ>と呼ばれる人たちはFacebook をも見放しつつあるようです。彼らは、伝統的なニュースサイトにアクセスすることはなく、今はInstagram、TikTok、Youtubeなどからニュースを取得しています。そうです、これらは画像、動画中心のサイトで、基本的に文字ベースの「Facebookを新たに使い始めることもない」とあります。

まだ十分ではありませんが、朧げに見えてきました。なぜ、Facebookが、伝統的な既存メディアに大枚を叩いて記事へのアクセス権を確保することに躊躇っているか。The Vergeの記事によると、「アプリのフィードをTikTokのようにする」という指令が現場に降りてきているとのことです。記事はこうあります。「ソーシャルメディアでの優位性に対する正当な挑戦者となったTikTokの台頭にMeta(=Facebook)がいかに強制的に対応するかだ」。

それに、Facebook からリンク先に飛ぶのは0.4%だとNiemanLabの記事にありました。1000件のアクセスでわずか4件です。それで何億ドルというのも割に合わないとも言えます。そして将来を見据えれば、若者に受け入れられるソーシャルメディアに脱皮するという試みなのかもしれません。

ちなみにソーシャルネイティブの上の25歳から34歳はデジタルネイティブと言うそうです。ニュースメディアの世界は単なる「デジタル化」だけではもう追いつかない、ソーシャル的な要素を取り込まなくっちゃってことでしょうか。