後編)ミュージアムのサブスク〜国内ミュージアムサブスクの飛躍に向けて
2回にわたって国内外ミュージアムのサブスク(メンバーシップサービス)に着目している。後編である今回は、独立行政法人国立美術館(以下、国立美術館)のサブスクを、欧米各館のそれと比較しながら紹介する。なお国立美術館とは、国立西洋美術館や国立新美術館を含む国内7館の国立美術館の運営主体のことである。
研究員がひも解く未来
後編)ミュージアムのサブスク〜国内ミュージアムサブスクの飛躍に向けて
2回にわたって国内外ミュージアムのサブスク(メンバーシップサービス)に着目している。後編である今回は、独立行政法人国立美術館(以下、国立美術館)のサブスクを、欧米各館のそれと比較しながら紹介する。なお国立美術館とは、国立西洋美術館や国立新美術館を含む国内7館の国立美術館の運営主体のことである。
前編)ミュージアムのサブスク〜海外ミュージアムのサブスクはしっかりビジネスになってるぞー!
世の中の多くのミュージアムではメンバーシップサービスを提供している。会員から年会費をもらって、展覧会へのフリーパスなど様々な特典を提供する。つまりサブスクだ。
このコラムシリーズでは、様々な角度で国内外のミュージアムを比較しているが、サブスクにおいてもやはり国内外の差は大きい。欧米ミュージアムのサブスクは、ミュージアムが自力で稼ぐための重要手段になっている。魅力ある特典で会員を集め運営資金の原資を生み出しており、しっかりとビジネスになっているのだ。
サブスク革命児たちのビジネス史に残る失敗④〜ユーザー流出を止められなかったコスメサブスク
引き続きサブスク企業の失敗シリーズをお届けしている。今回はコスメサブスクのパイオニアである米Birchboxだ。Birchboxは、2014年4月には時価総額4.85億ドルを誇ったが、その後は事業が下降。2015年8月に、2人の共同創設者兼CEOのうち1人がポジションを退き、2016年には、膨らんだ負債への対応のために2度のリストラを実施。一時期100万人いたユーザーは30万人まで縮小し、2021年10月、健康・美容系サービスの企業がBirchboxを4,500万ドルで買収した。企業価値はピーク時の1/10以下だ。
サブスク革命児たちのビジネス史に残る失敗③〜元祖ファッションサブスクの読み違い
引き続き、サブスクブーム時のスター企業による失敗に注目する。今回はファッションサブスクの米Rent the Runway(以下、RTR)だ。RTRはファッションサブスクの起源のような存在であり、同社のビジネスは、その後世界中で続々とあらわれた追随サービスにとっての雛形となった。しかし今、そのRTRの株価推移を見ると、上場直後をピークに約95%も下落している。ファッションサブスクの先駆者に何が起こったのか?
サブスク革命児たちのビジネス史に残る失敗②〜市場変化を見誤ったPeloton
前回に引き続き、2010年代のサブスクブームの渦中にいたサブスク寵児たちの失敗に着目する。今回とりあげるのは、2020年の新型コロナウィルスによるパンデミックが運命の分かれ道となった事例だ。「環境変化への対応力」が問われた局面での失敗例として、ホームフィットネスサブスクの米Pelotonを紹介する。
サブスク革命児たちのビジネス史に残る失敗①〜成就しなかった値引き戦略
米国で動画ストリーミングを提供するHBOは、2010年代に映画館サブスクで名を馳せた米MoviePassの没落を描いたドキュメンタリー「MoviePass, MovieCrash」を公開した。MoviePassとは、破格の月額料金で毎日映画館を利用できるサービスであり、最盛期の2018年には300万人のユーザーを集めた。しかしその直後から苦境に突入し、2019年にはサービス停止、2020年には破産申請と、一気に転落していった。
サブスクトレンド2023 番外編
〜サブスクの卒業問題を考える
前回に引き続き、特定サブスクにおいて常に存在する課題を考える。今回はサブスクの「卒業」だ。ここで言う「卒業」とは、ユーザーがサービスを解約して旅立っていくことだが、ユーザーの不満による解約ではないところが普通の解約と異なる。
サブスクトレンド2023番外編
〜実店舗を伴うサブスクの共通課題
このコラムのサブスクトレンドシリーズでは、サブスクの潮流変化にスポットを当ててきた。今回と次回は少し趣向を変えて、恒常的に存在するサブスクの課題に注目してみようと思う。変化するものもあれば、しないものもある。両方をおさえることでサブスクマスター(?)に近づける気がする。今回取り上げたいのは「実店舗を伴うサブスクの課題」だ。
サブスクトレンド2023
~中国の「悦己消費」ムーブメント、自分の喜びのためのサブスクサービス
2010年頃、村上春樹の小説で生まれた「小確幸」という造語が一時的に中国の若者の間で流行語となった。特に都市部の若者たちは、村上の小説を通じて自分たちの日常生活で、小さいながらも確かな「幸せ」を見つけることに価値を見出した。