Title: | 米国の医療制度改革 —「オバマケア2.0」を見据えて(第1回) |
Updated: | 2014/04/30 |
Category: | その他 |
Areas: | 米国 |
米国の医療制度改革 —「オバマケア2.0」を見据えて(第1回)
2014年1月1日、オバマケアに基づく国民皆保険がスタートした。既往症の有無などに関わらず誰でも健康保険に加入できる。これまで加入できなかった約5,000万の人たちに加入の道を開くと期待されている。成立に至るまでの道程は険しく、そもそも政府にそのような権限があるのかどうかについて最高裁で争われたほどだった。
さまざまな困難を乗り越えてやっと実現したオバマケアだが、初年度の加入者数は政府の発表によれば目標を達成し上々の成功を収めたというものの、共和党を初めとする反対派は猛反発しており、これを反古にしようとする動きを強めている。国民からも不満の声が多数上がるなど、前途多難な様相を呈している。
オバマケアの目的は単に健康保険への加入者を増やすことだけではない。医療コストの削減や国民の健康増進のためのさまざまな施策を通じて、ヘルスケアを改革することであり、これによりM2M/IoTの発展が加速することも期待されている。これを大きなビジネスチャンスと捉える通信事業者や関係分野の事業者は、その動向を見守りながら着々と足場を固め、飛躍の好機をうかがっている。
オバマケアが成功かどうかを見極めるにはもう少し様子を見る必要があるが、本シリーズの第1回目となる本稿では今後の動向把握と米国理解のための一助として、オバマケアの成立に至る過程や新制度の内容などを通じて見えてきた米国のさまざまな側面に焦点を当てるとともに、「オバマケア2.0」を見据えた通信事業者の動きについても概観する。