大統領選で偽ニュースが氾濫


米大統領選挙はトランプ氏の勝利に終わったが、偽ニュースが選挙結果に影響を与えた可能性があるとの聞き捨てならない情報がある。

Facebook等には偽ニュースが氾濫しているので、惑わされないようにと、Voxが警鐘を鳴らしていた。今回の大統領選は特に偽情報が多く出回ったと指摘している。

例えばDenver Guardianというニュースサイトで、「クリントン氏のメール漏洩に関係していると見られるFBIのエージェントが死体で発見された」と報じたが、これはまったくの出鱈目だったにも関わらず、Facebookで何万人にも拡散してしまったという。

また、WorldPoliticus.comが、「クリントン氏は2017年にメール問題で訴追される」と報じた。これも根拠のないデマだったが、トランプ支持者は勢いづいてFacebookで14万人以上にこの偽ニュースやコメントなどを拡散した。

WorldPoliticus.comのホームページより
WorldPoliticus.comのホームページより

BuzzFeed Newsが調査したところ、米国の政治関連ニュースサイトのうち、100以上のサイトが、バルカン半島のマケドニア中部のベレスという、人口4万5,000人の町で運営されていることがわかった。

このベレスは、最近、デジタルのゴールドラッシュに沸いているという。若者達が米国の政治関連ニュースサイトをいくつも立ち上げている。サイトの数は140以上にも上り、うち40は既に閉鎖されているが、100以上のサイトは今なお健在だ。

例えば、上記のサイトの他に、TrumpVision365.com、USConservativeToday.com、DonaldTrumpNews.co、USADailyPolitics.comといったものがある。ほとんどがトランプ氏を熱狂的に支持する内容の情報を発信している。

サイトを運営しているのはほとんどがベレスに住む10代の若者達。米国の大統領が誰になろうと関係はないし関心もない。関心があるのはサイトに表示された広告を閲覧者がクリックしたときにGoogle AdSenseなどから支払われる広告収入だ。

特にトランプ氏を支持するコンテンツは高収入が期待でき、センセーショナルな偽情報ほど収入が増えるという傾向があるらしい。1か月に5,000ドルとか、1日で3,000ドル稼いだといったケースもあるようだ。

このようなサイトの情報がすべて偽物とは限らないが、玉石混淆なので、読者の側の思慮分別が求められ、くれぐれも偽情報に惑わされないようにすることが大切だ。とは言え真偽の確認は難しいこともあり、鵜呑みにする人も多いことだろう。

今回の大統領選は僅差の接戦だっただけに、このような偽情報があるとないとで結果が変わっていた可能性があることは否定できない。

米国を変え、世界を変える可能性のあるインターネットやソーシャルメディアの影響について、改めて考えさせられる選挙だった。