VerizonがFiosモバイルアプリのデータを無料化したが、あまりスッキリしない。
Fiosのインターネット・TVサービスの顧客は、Verizonのワイヤレスサービスを使えば、データ使用量を気にせずTV番組を楽しめることになった。
Fiosモバイルアプリで140チャンネル以上のライブTVやオンデマンド番組などを、外出先でもモバイル端末でデータ料がかからずに視聴できる。
ただしデータ無制限プランの顧客には関係のない話だ。
ところで、これはオバマ前政権下でトム・ウィーラー氏がFCCの委員長だったら問題視されていたところだった。
ワイヤレスサービスでデータ使用量をカウントしない「ゼロレーティング」は、T-Mobileが「Music Freedom」や「Binge On」で導入して注目を浴びた。
音楽やビデオのトラフィックを特別扱いすることになるので、ネット中立性ルールに反するとの見方もあったが、特定の会社のサービスを特別扱いするものではないので競争上はそれほど問題にはならず、ユーザのメリットも大きいのでFCCは容認していた。
それを見て、他のキャリアも追随した。Verizonは自身のビデオストリーミングサービス「go90」にゼロレーティングを適用した。AT&Tも自社のDirecTVアプリやDirecTV Nowのデータはワイヤレスサービス上ではカウントしないことにした。
ところが、VerizonやAT&TのゼロレーティングはT-Mobileとは違って、自社のサービスを特別扱いするものだ。これは競争上問題になる可能性がある。
FCCが問題視して調査を開始した。ところがトランプ政権になり、アジット・パイ氏がFCCの委員長になったことで事情が変わった。
パイ氏はネット中立性ルールに対して以前から批判的。委員長に就任するやいなや、ゼロレーティングに関する調査は終了すると宣言した。ユーザにメリットがあるならいいじゃないかという立場。
これでVerizonは安心して今回、ゼロレーティングの対象を拡大し、Fiosモバイルアプリも含めることにしたという次第だ。
競争上の問題が解消したわけではないので、あまりスッキリしない。