Title: | CRTに揺れる米国の教育 |
Updated: | 2022/05/25 |
Category: | その他 |
Areas: | 米国 |
CRTに揺れる米国の教育
米国の教育システムに関して、うまくいっているという情報とうまくいっていないという情報が錯綜している。たしかに良い面もあれば悪い面もあるが、概して悪い面が優っているように見受けられ、「失敗」、「問題山積み」と叫ぶ声が何十年も前から絶えず上がっている。特に人種問題に関わる教育の不平等の問題は根強く、いつまで経っても解消する兆しが見えない。
最近、これに追い討ちをかけるかのように、教育の現場で「CRT(Critical Race Theory)」が騒がれるようになった。人種問題を解消するために考案された法理論で、元来は法科大学の1コースだったが、最近では形を変えて小中高の学校の授業や政府機関の職員の訓練などにも導入されていることがわかった。これが人種問題を解消するどころか悪化させるとの懸念や、国民を分断するものであるとの批判が湧き起こっており、論争や抗議活動などが激化している。CRT教育を禁止する州の動きも広まっている。
本稿では米国の教育システムの良い評価と悪い評価が錯綜する状況を紹介するとともに、CRTを巡る状況を報告する。