TikTokに関するAmazonの怪しげな動き


TikTokに関するAmazonの怪しげな「朝令暮改」が憶測を呼んでいる。

TikTokのiPhone用アプリ(App Storeより)

中国系の動画投稿アプリ「TikTok」はとりわけ若者の間で人気が高まっているが、セキュリティ上の懸念も高まっており、米政府は禁止を検討している。

そんな中、Amazonは7月10日の午前、「セキュリティ上のリスク」から、社用のメールにアクセスできる携帯端末でTikTokを使用することを禁じることとし、当該端末から即刻このアプリを削除するよう通知するメールを社員に送った。

ところが、その日の午後になって、朝送ったメールは間違いだったとして、アプリを削除するよう求めた通知を撤回した。

まさに「朝令暮改」となったが、この怪しげな動きが疑問や憶測を呼んでいる。

朝の通知は本当に間違いだったのか、実は本当は間違いではなかったが、何らかの事情(圧力?)によって撤回を余儀なくされたのではないか、との疑いを持つのは自然な成り行きだ。

いずれにしても、今のところは情報の発信元が間違いだと言っているのだから、他に明確な根拠がない限り間違いとして扱うしかない状況だ。

こういうときの企業の対応として、とりあえず様子を見て、米政府の調査などで安全でないことが確認されたら使用禁止などの対応するというやり方と、とりあえず社員の使用を禁止して、もし米政府の調査などで安全であることが確認されたら禁止を解除するというやり方があるだろうが、セキュリティを特に重視する企業ならば後者の対応をとってもおかしくはないところだ。

てっきりAmazonは後者の対応をとったのかと思ったが、そうではなかったようだ。ちなみに、Amazonと歩調を合わせて社用スマホからのTikTokアプリの削除を命じたWells Fargo銀行は撤回していない。

もっとも、Wells Fargoの場合は、セキュリティ上の懸念の他に、社用スマホに業務に関係のないアプリをインストールしてはいけないという理由もあるから、むしろ撤回すると規律を緩めすぎることになる。

逆にAmazonは、社用スマホにTikTokアプリを入れてもいいのかという話になるが、Amazonの場合は、「社用メールにアクセスできる携帯端末」と言っていて、必ずしも「社用スマホ」に限っていないところがミソだ。

それにしても今回のAmazonの動きは怪しいが、本当に間違いだったのかどうかはともかく、Amazonは少なくともTikTokアプリの削除を命じることを検討したということは事実だろう。

そして、そのような検討をするに至ったということは、TikTokのアプリでセキュリティ上の問題が疑われるような動作が見つかったことが推察される。それだけでもTikTokの信頼性を下げる一因にはなる。

というわけで、今回のAmazonの怪しげな動きにより、TikTokに対する米政府の調査や対応はますます厳しくなるかもしれない、とFast Companyは伝えている。