AT&TがFacebook Phoneを99セントで売る理由


AT&Tが初のFacebook Phone「HTC First」を、販売開始から1か月もたたないうちに99ドルから99セントに値下げした。単に売れ行きが悪いからということのほかに、もっと重要な理由がある。

AT&TのWebサイトより

Ad Ageが「AT&TはなぜFacebook Phoneを1ドルもしない価格で売れるのか」という記事でそれを説明している。それによると、HTC Firstは常にFacebookにアクセスしてFacebookをガンガン使いまくる「スーパーユーザー」向けの端末。SMSも使わず、Facebookのメッセージサービスを利用するよう奨励している。したがって、そのデータ使用量は相当のものになるようだ。

AT&Tは新規顧客には無制限データは提供していないので、新規顧客の料金プランには月々のデータ利用量に上限がある。上限を超過すると1GBあたり15ドルの超過料金がかかる。

Validasによると、現在のAndroidユーザーの月々のデータ平均使用量は709MB、AT&T加入者の平均は633MB、HTC端末ユーザーの平均は681MB。AT&Tの料金プランはデータが300MBで月20ドル、3GBで月30ドル、5GBで月50ドル。上記の平均使用量からすると、HTC Firstの平均的なユーザーは3GBで月30ドルのプランに加入しているものと想定される。音声用の最低のプランが月39.99ドルなので、音声とデータを合わせて最低で月69.99ドルは支払っているものと想定される。

そこへFacebookのヘビーユースが加わると、超過データが発生するか、それを恐れるユーザーはもっと上限の大きいプランに変更することとなり、端末の値下げ分を補ってあまりある収入増が期待できるというわけだ。

これは少なくともAT&T、HTC、Facebookの3社がハッピーになるシナリオだ。ただし、ユーザーがハッピーになるかどうかが問題。ユーザーがハッピーにならなければ普及は見込めない。

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