AppleのWWDCは衝撃的な開幕


AppleのWWDC(世界開発者会議)のオープニングビデオは衝撃的だった。

Appleに入社したばかりの社員の初日。大きな案件でバタバタしているので、まだ机が用意されていない。臨時に充てがわれたのはデータセンター内に一つだけある机。他にはApp Storeのサーバーが収容されているラックがずらりと並んでいる。

WWDCの動画より
WWDC 2017の動画より(以下同じ)

何はともあれ、iPodで音楽を聴く。選んだ曲はクリストファー・クロスの『オールライト(大丈夫)』。それから机の上を整え始める。鉢植えを置き、卓上噴水LEDライトも置いた。これには電源が必要だ。コンセントはないかと探したところ、机の下にあるにはあったが全部ふさがっていた。

一本のコードを引き抜いた。その途端、データセンター内の全ての電源が切れ、すべてのサーバーが停止。iPhoneやiPadなどのゲームやアプリがすべて停止する。すべてのディスプレイ上からアプリがどんどん消えてなくなる。

車はコントロールを失い、次々と衝突。世界中が非常事態に陥る。もはやアポカリプス(終末)。混乱、破壊、破滅、文明崩壊の状態となる。

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アプリがなくなった社会では、今までアプリ上で行われていたことが現実世界で行われるようになる。移植手術で顔を入れ替えたカップルまで現れる始末。

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外ではそんな大変な状態だというのに、張本人の新人社員は相変わらずデータセンターの中で『オールライト』を聴き、「大丈夫〜」と口ずさみながら、鉢植えに水をやったりしている。

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それほどアプリは今や社会にとってなくてはならない存在。皆さん、どうかアプリを作り続けてください、とAppleが開発者たちにメッセージを伝える。

このビデオ、アプリの重要性を伝えるには少々やりすぎではないか。机の下のコードを一本引き抜いただけで全部の電源が切れるなんて、データセンターの脆弱性を暴露していることにならないか。

実際にはそんなことは起こりえないが、サイバーテロなどにより同様のことが起こる可能性はないとは言えない。

アプリやインターネットに頼りすぎるのはやめよう、というメッセージにもなりそうだ。