ネット中立性ルールを撤廃するというFCCの決定に対して、上院が5月16日、これを阻止する議案を可決した。
FCCは2017年12月にネット中立性ルールを撤廃することを決定し、6月11日に施行する予定にしていた。
今回上院がこれを阻止したことで、ネット中立性ルールの撤廃が予定どおり実施されるのかどうかはわからなくなってきたが、今後下院での決議や大統領の署名というハードルがあり、特に下院はネット中立性ルールの撤廃を支持する共和党議員が圧倒的多数を占めることから、最終的に阻止に至るのは難しいとの見方が優勢だ。
Ars Technicaによれば、今回の上院の決議に先立ち、ネット中立性ルールの撤廃を支持するロビー活動が活発に繰り広げられたそうだ。
ケーブルTV、テレコム、携帯キャリアの利益を代弁する「ロビイスト軍団」が上院議員を相手に、なぜネット中立性ルールが不要なのかを説いて回り、ルールを復活しようとする動きを拒否するよう説得に努めたとのことだ。
その主な論旨は、ルールがなければ特定のアプリやコンテンツをブロックしたり速度制限をかけたり、高速レーンに別途料金がかかったりするとの懸念は杞憂にすぎない、ISPが自制するから大丈夫、というもの。
これに対し、ルールの復活を推進する民主党のマーキー上院議員は、ComcastがBitTorrentの速度を制限したり、AT&TがSkypeやその他の電話アプリをブロックしたりした事例が実際にあり、そのような濫用を防ぐためにもネット中立性ルールは必要だと反論して、「ロビイスト軍団」の言うことには耳を貸さないようにと説き伏せた模様だ。
実際に、ルールを撤廃することでどんな悪影響があるのか、本当にISPが自制するのかどうかは、やってみなければわからないところがある。
個人的にはISPに自制を求めるのは無理なような気がするが。