T-MobileとSprintの合併はまだ両社が合意しただけで、当局の承認には至っていないが、早くもVerizonがその恩恵を受けている、とThe Motley Foolが報じている。
T-Mobileが「アンキャリア」施策をスタートしてからというもの、Verizonはプレッシャーをかけられっぱなしだった。
Sprintも対抗して積極的な販売施策を打ってきたことから、プレッシャーはさらに強くなっていた。
そのせいで、Verizonも顧客志向の施策を打たざるをえなかった。おかげでVerizonのサービス収入は減少の一途を辿ってきた。
ところが2018年に入ってから、ワイヤレス業界は競争のプレッシャーが滅法弱くなった。特にT-MobileとSprintが合併に合意してからというもの、業界はしーんと静まり返っている。
これにより、Verizonの第2四半期のサービス収入は前年同期比で増加するだろうと、ドイツ銀行のアナリストは見ている。その理由と意義は以下のとおり。
- 活発な販促合戦は終りを告げる
2年前にはT-Mobileは顧客を獲得するためならなりふり構わなかった。特定の端末を下取りに出すとiPhone 7の本体代金が無料になるようなこともやっていた。
ところが競合他社も同じようなプロモーションを行うようになったため、思ったほど顧客獲得の効果が上がらなくなり、2017年のiPhone施策は控えめになった。
2018年は2017年よりも控えめだ。T-Mobileの「何が何でも顧客を増やせ」式の施策はもはや過去のものとなった。
- Verizonの前年同期比が改善するわけ
Verizonが無制限プランを復活したのが2017年第1四半期。これによりサービス収入はかなり落ち込んだ。
今度の第2四半期の前年同期比はこの前年の落ち込んだ後の第2四半期との比較になるので、第1四半期ほど悪くはならないはず。
もっとも、Verizonは2017年第2四半期に無制限プランを2種類に分化したので、これによりさらにサービス収入が落ち込んでいる可能性があるが、第1四半期に無制限プランを復活したときほどの落ち込みではないだろうと見る。
- なぜサービス収入が大事か
Verizonは固定費が大きいので、サービス収入が増加しても費用はそれほど増加しない。すなわち、利益が増加する。
端末収入の増加はキャッシュフローの改善には貢献するが、最終的な利益の増加には貢献しない。
最近の市場の静けさは、サービス収入を増加させるのに貢献するので、Verizonの利益の増加に貢献する。
要するに、Verizonにとっての恩恵とは経営者や株主にとっての恩恵であって、顧客にとっては恩恵どころか不利益だ。
T-MobileとSprintの合併による消費者への不利益が早くも現れている。