過激な抗議行動に対するいろいろな見方


米国で過激化している抗議行動に対しては、いろいろな見方がある。

ミネアポリスで発生した黒人男性死亡事件が発端となって全米各地で抗議行動が起こっており、ところによっては暴動や略奪にエスカレートしている。これに対してはさまざまな見方がある。

そもそも警察が黒人に対して差別的な扱いをしているという見方と、していないという見方。さらに警察に対する義憤の気持ちが高揚して過激化したという見方、抗議行動と暴動・略奪は別物との見方、無政府主義者やテロリストが扇動しているとの見方等、さまざまだ。

それに関連するトランプ大統領のツイートに対するTwitterの「検閲」が問題になっているが、これにもさまざまな見方が絡んでいる。

過激な行動をする人たちをトランプ大統領は「悪党」と呼んだ。純粋な抗議行動とは別物の「テロリスト」による活動だとの見方で、テロ行為に対しては毅然と対処する意思を示したものとも言える。

これに対して、純粋な抗議行動をする人たちを「悪党」呼ばわりするだけでなく、銃撃をほのめかして威嚇するとはけしからんとの見方をする人もいる。

さらにTwitter社が、大統領のツイートは暴力の賛美に関する同社のルールに違反するとの警告を付けたことが問題になった。大統領のツイートを「暴力の賛美」かどうか判断をすること自体が問題だとの見方や、さまざまな見方があることについて注意喚起しているものだとの見方もできる。

ちなみに、DailyWireが指摘するように、このツイートと警告は、通常のTwitterの画面で見ると問題のツイートが警告メッセージに隠れてしまい、「View」をクリックしないと表示されないが、このツイートをブログなどに埋め込むと警告が表示されず、問題のないツイートであるかのように表示されるという現象が起こっている。

通常のTwitter画面のスクリーンショット

同じツイートをブログに埋め込んだもの

 

ひとつの物事に対して複数の見方があったり、ほぼ正反対の見方が存在したりするというのは不思議ではあるが、誰がどういう見方をするかは、個々人の立場、環境、思想、情報量等によって変わってくるから、さまざまな見方が出てくるのは当然とも言える。ただ、異なった見方が対立して摩擦や分断を引き起こすことがあるから厄介だ。

さまざまな見方があっていい、どういう見方をしようと自由だという見方もあれば、無責任な発言はいけない、特定の見方を押し付けるようなやり方はいけない、国民の分断を煽るようなことはいけないなどの見方もある。どれもひとつの見方だと思えば対立は避けられるとの見方もある。

中には特定の意図の下に偏った情報を意図的に発信している場合や、メディアの報道の仕方に問題があることもあるので、情報を受け取る側も気を付ける必要がある。入手した情報を転送・拡散したり、自分の意見を加えて発信したりする場合はなおさらだ。

ところで、今回の米国における過激な抗議行動とそれに対する米国政府の対応について、イランと中国が対照的な見方をしているとの報道がある。両国とも米国とは敵対関係にあるので、常日頃から米国に対しては極めて批判的な見方をしている。

今回の米国での抗議行動に対して、イランはこの過激な抗議行動を支持するとしている。暴力に反対する人たちによる平和的な抗議行動が暴力により無差別に弾圧されているとして米国政府を非難し、米国の国民に同情するという声明を発表した。

一方、中国の国営メディアは、暴動は支持しないと述べている。米国政府に同情しつつも制圧の仕方が生ぬるいと批判した。

中国の反応は、一見、日頃の中国らしからぬ米国政府寄りの見方と言えなくもないが、実は香港の人民の中国政府に対する抗議活動もそれと同じであると印象付けて、中国政府による香港の抗議行動の弾圧を正当化しようとする意図があるとの見方もできる。

とりあえず、情報を鵜呑みにしないことが大切だ。