T-MobileのBinge Onには欠陥があるとする調査結果が発表された。
Binge Onは特定のビデオストリーミングのデータが無料になる(すなわち、ビデオを視聴しても月間のデータ許容量を消費しない)という、ユーザにとってはありがたいサービスだ。
ところが、テストしてみたら、データが無料になるはずがならなかったり、その逆だったりといったことが起こったとの調査結果が出た。
さらに、有料・無料のビデオの識別は簡単なヘッダー情報等に基づいているため、容易にごまかせることもわかった。
この調査を行ったのはノースイースタン大学の研究チーム。3月の初めにテストをした結果に基づいているが、評価を下した5月時点の状況も反映しているとしている。
調査で判明したBinge Onの主な特徴は以下のとおり。
- T-Mobileはネットワークを「最適化」していると言っているが、実際に行っている処理は回線速度を1.5Mbpsに落としていることだけ。
- Binge Onを「オン」にすると、対象外のビデオサービスも同様に回線速度が落ちる。低速度の回線にも対応できるビデオでないと支障が出る。
- 対象のビデオサービスかどうかの判定は、パケットのヘッダ情報等から特定のキーワードを検出するという単純な方法によっているため、誤検出(false positive)や検出漏れ(false negative)が起こりうる。
- ヘッダ情報等を改ざんしたりすることで「ただ乗り」ができるという脆弱性がある。
- このようなDPI(ディープ・パケット・インスペクション)ベースの手法を取る限り、この脆弱性を解消することは難しいので、別の手法が望まれる。
日頃Binge Onの恩恵にあずかっている善良なユーザとしては、つまらないところでケチがついて、サービス廃止なんてことにならないことを祈る。