AT&Tのインターネット速度の遅さに耐え切れず、カリフォルニア州の老人が行動を起こした。
北ハリウッドに住むアーロン・エプスタイン氏(90才)が、1万ドルを費やして新聞広告を出した。AT&TのスタンキーCEOに宛てて、高速インターネットを提供するためにもっと仕事をしろとの趣旨のメッセージを伝えたもの。
NBC Newsによると、エプスタイン氏は1960年からAT&Tを使い続けている極めて忠実な顧客。同氏が住む地域のAT&Tの固定インターネットの速度は最大で3.5Mbps。昔はそんなに気にならなかったが、5年ほど前から支障が出始めた。
ストリーミングサービスが普及し始めたときだ。Netflixなどで映画を観ようとしたところ、まるでスライドショーのように動いたら止まり、また動いてまた止まるという繰り返しで、フラストレーションが溜まるばかり。
AT&Tに電話をして、もっと速度を速くしてほしいと頼んでみたが、この地域ではまだ利用できないとの返事ばかりで埒が明かない。他社に乗り換えるという手もあるが、電話番号やメールアドレスが変わると困るので他社への乗り換えはしたくはなかった。
そこで、同氏は新聞広告を出してこの不満をぶちまけることにした。2月3日付けのThe Wall Street Journalのニューヨーク版とテキサス版にそれぞれ広告を出した。テキサスにはAT&Tの本社がある。
タイトルは「AT&Tのジョン・T・スタンキーCEOへの公開レター」で、内容は大要以下のようなもの。
我が街はUniversal、Warner Brothers、Disneyのスタジオも近くにあり、クリエイティブな技術者たちが多く住んでいる地域であり、高速インターネットが必要とされている。
AT&Tは他の地域では100Mbpsのインターネットを宣伝しているが、我が街のインターネットは最大3.5Mbps。競合他社は200Mbpsのサービスも提供しているというのに。通信業界をリードするAT&Tがなぜ北ハリウッドの我々住民をこれほど粗末に扱うのか。
この広告を出した日に、エプスタイン氏のところにスタンキーCEOのオフィスから電話がかかってきた。問題解決のためにどうしたらいいかという内容。
その翌週に、エプスタイン氏の家にAT&Tの工事担当者が2名やってきて工事が行われ、高速インターネットが開通した。同氏が望んでいた通りの高速サービスで、とても満足しているという。
この地域ではまだ利用できないのではなかったのか。声の大きさやお金の使いようによっては特別扱いしてくれるのか。
同氏のようなお金の使い方については賛否両論があるが、レストランや旅行にお金が使えないご時世で、家でNetflixが快適に視聴できるようになったことの価値は大きく、その出費について同氏は後悔していないとのことだ。
そう言えば、筆者の住む「我が街」もAT&Tのインターネットは遅い。最近は少しは速くなっているかもしれないと、最新のサービス利用可能性を調べてみたら、いまだに最大5Mbpsのサービスしかない。

以前はこのサービスに「高速インターネット」の称号が与えられていたが、さすがに今はそれはなくなっている。
さて、1万ドルを払って広告を出すべきかどうか、慎重に検討することとしたい。