AT&Tはスリム化に本気モードか


AT&Tは映像系部門や政府系部門を切り離すなど、スリム化を推し進めているようだ。

AT&Tは2月25日、映像系事業(DIRECTV、AT&T TV、U-verse)をスピンオフして、プライベートエクイティ会社のTPG Capitalと共同で新会社「DIRECTV」を設立すると発表した。

新会社の企業価値は162.5億ドルと見積もられ、AT&Tが70%、TPGが30%を保有する。この取引によりAT&Tは新会社から78億ドルを受け取り、この売却益で負債を軽減することにしている。

2014年にAT&TがDIRECTVを買収すると発表したときは、DIRECTVの企業価値は485億ドルと見積もられた。この買収のためにAT&Tは負債の引受を含めて670億ドルを支払っている。

結局、DIRECTVはAT&Tに買収された後も顧客を増やすことができず、収益を改善することもできずに、企業価値を下げてしまった。AT&TにとってはDIRECTVの買収は失敗だったということになるだろう。

なお、映像系とは言っても、WarnerMediaを手放すわけではないし、HBO MaxもまだAT&Tの手元に置いておきたいようだ。

さらに3月4日には、AT&Tは、政府機関にソリューションを提供する子会社「AT&T Government Solutiuons, Inc. (GSI)」を、政府機関向けシステムインテグレータのTyto Atheneに売却することで合意したと、Tytoが発表した。

買収金額等詳細は明らかにしていないが、GSIの年間の売上は2-3億ドル程度。買収後のTytoは従業員数1,200人で、米国および世界18か所にオフィスを構える会社になるとのことだ。

AT&Tとしては不採算部門をどんどん切り捨てる方針のように見えるが、政府系サービス部門がそれほど採算が合わなかったのか、それほど重荷になっていたのか。政府系サービスは儲かっていそうな気がしないでもないので、少し意外だ。または採算以外に何か手放す理由があるのかもしれないが。

Verizonはミッドバンド5Gに本気モードだが、AT&Tはスリム化に本気モードかもしれない。