レストランでチップ廃止の動き


SFベイエリアのレストランでチップを廃止する動きが出ている。

コロナ禍がやや収まりつつあり、外出制限も緩和され、レストランなどの営業再開の動きが活発化しているが、San Francisco Chronicleによると、店内飲食の再開とともにチップを廃止するレストランが増えているとのことだ。

客としてはこれで面倒な計算や手間がいらなくなる、少しは安く食べられる、と喜んでいいのか。そういう単純な話ではなさそうだ。

同誌によれば、イタリアンレストランの「Che Fico Alimentari」では、10%の「店内サービス料」を自動的に徴収すると顧客に周知した。これは基本的にはチップの代わりになるものだが、さらにチップを支払いたければ支払ってもよいというものだ。

すなわち、これまでは慣行として10-20%のチップの支払いをすべて顧客の裁量に委ねていたものを、10%を強制にして残りを顧客の裁量に委ねることにしたということになる。

このサービスチャージはお店が利益を出して将来的に継続していくために役に立つ、と理解を求める説明書きもある。

同様の動きは他のレストランでも起こっていて、Zuni Cafeのように20%のサービスチャージを設定したところもあるとのことだ。これには賛否両論が巻き起こっており、一旦導入した後に撤回する動きも出ているが、以前の状態に戻ることはないとの意見もある。

チップは欧米では伝統的にウエイター/ウエイトレスの重要な収入源になっていたが、調理や洗い場のスタッフとの間で不公平が生じることも長年の問題になっていた。

そもそも、お店が成り立つために必要な収入源なのであれば、それをすべて顧客の裁量に委ねるというシステムには無理がありそうだ。

コロナ禍による打撃からの回復を図っている今こそ、旧弊を打破する千載一遇のチャンスでもある。