T-Mobileの「Un-carrier 8.0」は「データ貯金箱」


T-Mobileが12月16日に「Un-carrier 8.0」として発表した「Data Stash(データ貯金箱)」は、要するにデータ繰越しだ。

T-MobileのTwitterページより
T-MobileのTwitterページより

毎月の未使用分の4G LTEデータをへそくりのように「貯金箱」に貯めておいて、後で使いたいときに使えるようにするもの。最長で1年間繰り越せる。

3GB以上のスマホ用プランや1GB以上のタブレット用プランに加入している顧客を対象に、2015年1月から提供する。これを記念して、T-Mobileは対象顧客に対し、1回線につき10GBのデータを無料で貯金箱に入れてくれる。

これによりT-Mobileが発しているメッセージは、「Don’t Lose What You Don’t Use」(未使用分を失わないようにしよう)。

たとえば、ガソリンスタンドが給油しようとする車のタンクに残っているガソリンを抜き取るとしたらどうだろうか。レストランが客の食べ残しの持帰りを許さないとしたらどうだろうか。客は怒るだろう。

従来のキャリアがやっていることはそれと同じこと。顧客が支払ったデータは顧客のものだ。未使用だからといってキャリアが取り上げていいわけはない。

これには賛同できる。以前、節約のためにぎりぎりのデータプランを使っていたら、つい上限を超過して高い超過料金を取られてしまい、全然節約にならなかったことがある。それ以来、超過料金が怖いので、少し多めのプランを契約することにしている。食べ残しはかなりあるはずだ。

利用者にとっては必要なときに必要なだけ使えるのはありがたいが、キャリアにとっては減収要因となるリスクがあるので、あまりやりたがらない施策だ。さすが、T-Mobileは「アンキャリア」だけある。

ところで、「繰越し」に相当する英語は「Rollover」が一般的だが、T-Mobileはなぜ「Stash」という聞き慣れない言葉を使うのか。

CNETによると、「Rollover」はAT&Tが使用権を持っているので使えないそうだ。その昔、Cingularが通話分数の繰越しを実施して大成功を収めたという経緯がある。

もっともT−Mobileは別に「Rollover」なんて言葉は使いたいとも思わなかったようだ。ジョン・レジャーCEOに言わせれば、「Rolloverは80年代の遺物、Stashの方がいけてるでしょ」というわけだ。