ストリーミングのケーブル化現象を嘆く

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ビデオストリーミングサービスがケーブルTV化していると嘆く声がある。

The Vergeに掲載されたWalt Mossberg氏の声を紹介したい。

OTTビデオストリーミングサービスは、かつては少数派の趣味だったのが今やまぎれもなく主流の視聴スタイルになっている。ケーブルTVや衛星TVを契約していてもNetflixやHuluのアカウントを持っているというのは珍しいことではない。

つい最近までストリーミングサービスは「Netflix/Huluモデル」とも言うべきスタイルを踏襲していた。若干の月額料金を払って膨大な映画やTV番組の中から好きなコンテンツを、好きなときに、何回でも視聴できるというシステム。視聴の順序や頻度に決まりはない。録画する必要もない。いつでも観たいときにそこにあるのだから。

ケーブルTVのアカウントがあれば無料で観られるものもあり、CMが入るものあれば入らないものもあるが、基本的なコンセプトは変わらない。

ストリーミングサービスが従来型のケーブル・衛星TVと違うのは、インターネットで配信されるかケーブルボックスや衛星アンテナで配信されるかの違いというよりも、コンテンツの選択・視聴の柔軟性にある。

従来型のTVサービスは、固定的な番組表に従ってコンテンツが流れる「リニア型」で、観たい番組を選択して好きなときに観るためにはケーブルボックスに内臓されたDVR機能(追加料金がかかるものが多い)で録画するしかなかった。

嘆かわしいことに、この違いが今、変わりつつある。最近二つのストリーミングサービスが登場した。どちらも衛星TVサービス事業者が提供している。これは従来型のリニア方式のTVサービスをインターネットで提供するもの。

Dish Networkが提供するSling TVとDirecTV/AT&Tが提供するDirecTV Now。この二つに共通しているのは旧来のシステムから二つの特徴を引き継いでいること。一つはTVネットワークがバンドルされていること、もう一つはリニア方式だということ。

両方のサービスをApple TVとPCで視聴してみたが、何だか時代に大きく逆行しているような感じだ。音楽に例えるなら、SpotifyやApple Musicのようなサービスが、聴けるアルバムの数によって料金設定されているようなもの。そして聴くときにはアルバムの中の曲を、オリジナルの順序で聴いているようなもの。

いろいろなジャンル、アーティスト、アルバムの中から好きな曲を選んで自分なりに作成したプレイリストを再生するのとは随分違うし、好みを反映してお勧めの音楽を流してくれるようなサービスとも違う。

一般的には、従来型のTVサービスは料金が高いから嫌だというコードカッターやコードネバーに対しては、Sling TVやDirecTV Nowのようなサービスが適しているのだろう。どちらのサービスも、視聴できるチャンネル数が少ない代わりに料金が安くなるような「スキニーバンドル」のオプションをいくつか用意している。

Sling TVのチャンネルラインアップ(Sling TVのホームページより)
Sling TVのチャンネルラインアップ(Sling TVのホームページより)

しかしこれは「Netflix/Huluモデル」と違い、番組よりもネットワーク(チャンネル)に重きが置かれている。もちろん特定の番組を検索する機能はあるが、ネットワークが中心で、リニア方式の放送が中心だ。

従来型のTVサービスとNetflixのアラカルト型サービスをうまく組み合わせたようなサービスが出てきてほしいものだ。Huluが計画しているサービスは、アラカルト型とライブストリーミングをミックスしたようなサービスらしいので、若干期待している。

既存のサービスで言えば、TiVoとComcastのX1を組み合わせたようなものならまずまずだ。X1でNetflixを視聴でき、TiVoでアラカルトの番組を視聴できる。

できれば、現状のNetflix/Huluの完全なオンデマンドサービスをさらに改善して、視聴者がもっと柔軟にカスタマイズできて、ネットワークからの押し付けが少ないようなサービスが理想だ。

バンドルの内容をカスタマイズできるようにして、過去の番組も制限なしに観られるようにして、ローカルチャンネルも映るというサービスなら妥協してもいい。

いずれにしても、従来型のケーブル・衛星TVサービスをインターネットで流すだけのサービスはいらない。